地域に数多く埋もれ、孤立している引きこもり状態の本人や家族に対し、同じような経験のある当事者や家族が訪問し、支援する――。こうした役割を担う全国初の家族会認定による「ひきこもりピアサポーター」が、このほど誕生した。先駆的な取り組みとして国も期待している。

 国からの委託を受け、「引きこもり」経験者や家族ら当事者性のある48人を「ひきこもりピアサポーター」に認定したのは、『全国引きこもりKHJ親の会(家族会連合会)』。全国各地に支部がある引きこもり家族会の全国組織であり、同じような痛みや悩みを経験し、気持ちを理解できる当事者ならではの目線が生かされている。

 この「ひきこもりピアサポーター」は、厚労省が社会福祉推進事業として2013年度から、地域に潜在する「ひきこもり」本人や家族に対し、きめ細かな支援が可能となるよう、継続的な訪問支援などを行うために取り組み始めた業務だ。

 現在、全国46ヵ所に設置されている「ひきこもり地域支援センター」などで、「ひきこもりサポーター」養成研修や研修修了者の情報管理などを行う「養成研修事業」と、「ひきこもりサポーター」を派遣する「派遣事業」として、同支援センターの設置運営費と併せると、2014年度も今年度と同額の150億円を計上している。

 同家族会が認定する「ひきこもりピアサポーター」の定義は、<家族会で活動するひきこもり経験者、当事者家族、当事者性を有する方>。

 派遣先については<家庭訪問に限らず、居場所や親の会、相談者の指定場所等>の適切な支援場所としている。