東京ガスや大阪ガスのガス導管事業分離と、それよりも需要家件数の少ない電力会社の送配電事業分離に関する法益の相違を整理する必要も出てくる。ガス事業法も機能別規制の法律構成でのネットワーク事業分離を想定しないのであれば、製造・導管・小売をバンドル(一体経営)する強力な接着剤を組み込む規定を置く必要がある。そうでなければ、ガス事業に係る法的分離の要請に対するお膳立ては既にできていることになる。

【論点2】
卸ガス市場活性化に必要な対策

 電力小売自由化では、卸電力市場の活性化は重要な柱の1つとされている。卸電力市場の活性化には、競争力ある火力発電用燃料である天然ガスの供給環境が良好になる必要がある。それはすなわち、卸ガス市場の活性化に他ならない。

 日本の天然ガス市場では、自社で天然ガスを輸入・調達する大手・中堅ガス会社や電力会社、石油会社などが、発電所や産業用需要家に直接小売をするか、ガス小売事業者に卸売をするかの2類型に大別される。卸ガス市場活性化のためには、ガス会社や電力会社などのLNG基地やガス導管のさらなる第三者利用拡大のための法的環境整備が必須だ。

 卸ガス市場を活性化させていくには、国全体の天然ガス小売事業に供される天然ガス供給力を把握しておく必要がある。天然ガスの直接小売元や卸元になる大手ガス会社や電力会社に対して、『天然ガス調達計画』を定期的に策定することを義務付けておくべきだ。

 大都市圏など主な天然ガス需要地域ごとに天然ガス導管網が分断されている現状では、卸ガス市場が真に活性化していくことは考えにくい。天然ガス導管事業者に対して、『天然ガス導管網整備計画』を定期的に策定することを義務付けるべきだ。天然ガス導管網の整備に要する費用負担の在り方を明確化することが前提となるので、政府はそのためのルールを早急に整備する必要がある。

【論点3】
小売参入自由化に伴う
広域的ガス供給ルールの整備

 ガス小売参入自由化に伴い、大手ガス会社に隣接する中小ガス会社にとっては、大手ガス会社との競争に晒され、利幅の大きい顧客を奪われる可能性が高い。たとえば外食チェーン店やシリーズマンションは、中小ガス会社に大手ガス会社と同水準のガス料金を求め、それが実現しなければ大手ガス会社にガス供給を申し込むことになるだろう。