需要家の選択肢拡大と
競争強化が改革の柱
本年11月13日、「電力システム改革」を進めるための改正電気事業法が成立した。大手電力10社が供給を独占している体制を、約60年ぶりに崩しながら競争を促す、というのが経済産業省の触れ込みだ。
電力システム改革では、「安定供給の確保」「電気料金の最大限の抑制」「需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大」を3大目的として掲げ、①2015年に『広域系統運用機関の設立』、②16年に『小売全面自由化』、③18~20年に『発送電分離』・『小売料金規制撤廃』と、3段階で制度変更を進めていく方針だ。今回成立した改正法は①に関することだけで、②と③は来年以降に順次、関連法案が国会に提出される予定だ。
政府は先月から、「ガスシステム改革」の検討を始めたが、これは電力システム改革の拠り所となる、本年2月の経産省報告書の記述に端を発している。
そこでは、『電力システム改革を貫く考え方は、同じエネルギー供給システムであるガス事業においても整合的であるべきであり、小売全面自由化、ネットワークへのオープンアクセス、ネットワーク利用の中立性確保、エネルギーサービスの相互参入を可能とする市場の活性化、広域ネットワークの整備などの、ガス市場における競争環境の整備が必要」と書かれている。
この時すでに、電力システム改革の次の政策ダマとして「ガスシステム改革」をぶち上げていたわけだ。
そして本年5月、「今後、ガスの卸市場及び小売市場における、需要家の選択肢拡大と競争活性化に資する制度面の取組に関する検討」と「競争を可能とするインフラ整備に関する検討」を進めていくとの方向性が打ち出された。