ノバルティスも手は打っていた。配合剤を販売し、小児適用を加え、13年には水なしで服用できる口腔内崩壊錠を発売した。さらに、グループ会社のサンドを通じ、ディオバンとまったく同じ後発品を製造販売するという先進的な防衛策も計画していた。

 これは先発品メーカー公認の後発品であり、「オーソライズド・ジェネリック」(AG)と呼ばれるものだ。

 通常の後発品は有効成分こそ同一だが、先発品と製法や添加物まで同じとは限らない。AGは、先発品メーカーから特許の許諾を得て、先発品と同じ製法や添加物で作られる。このため、通常の後発品よりも評価試験を減らすことができ、特許が切れる前から先んじて発売できるのだ。

 サンドは13年8月にディオバンの後発品の承認を受けており、12月から発売する予定だった。しかし、不正論文の疑惑が解明されない中で発売して世間から批判されることを恐れ、販売は見送られた。

 現在、ディオバンそのものですら、販売促進活動はほとんど行われていない。不正論文問題を受け、ノバルティスのMRに訪問を制限する医療機関が多いからだ。今後、他社の後発品に市場を食われてディオバンの売り上げが激減するのは必至。まさに、泣きっ面に蜂である。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 山本猛嗣)

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