タイプ4 事業を売却―売れる会社の条件

 第三者に会社を売却することで、投下資金の回収や従業員の雇用の確保が実現できることもある。特に、独自の技術を保有しているなど、いわゆる「のれん」を持つ事業では、売却がうまくいく可能性が高い。

 ただ、中小企業のM&A(合併・買収)は、まだ日本では件数が少なく、また、買い手市場の色彩が濃い。そのため、特別な「のれん」などがないと、買い主側の言い値で売却しなければならないケースも目立つ。

 もちろん、「売れる会社」はある。条件その1は、特色があること。長い歴史や、評価の確立したブランドといった「のれん」を持っていれば強いし、金を生む特許など特別な技術、官公庁や大手企業との取引口座などを持っている会社にも魅力がある。

 条件その2は、隠れた傷や陰がないこと。買収する側からすれば、たとえ10億円の資産を持つ会社でも、10億円では買えない。従業員の退職金債務、未払い賃金、追徴課税などリスクが多いからだ。買う側は「危なそうなもの」「わからないもの」は買わない。買うにしても、減額を求めてくる。

 そこで重要になるのが決算書だ。買収する側は損益計算書で、利益がどれくらいの期間出ているか、その利益は一時的なものか、継続的なものかなどを、まずチェックする。節税が過ぎて赤字にしていたり、“お化粧”のために資産売却で利益を水増ししたりしていると、評価は下がる。

 貸借対照表も同様で、不良資産は、デューディリジェンス(資産査定)で容赦なく企業価値から削られる。簿価2000万円のゴルフ会員権も時価10万円なら資産額は1990万円減額となるし、何年も回収できていない売掛金はないもの、つまりゼロと査定される。

 古い機械ならスクラップ扱い。いい土地を持っていても、担保に入っていれば評価額は減額されるし、古い上物が建っているなら解体費が割り引かれる。