政府の経済対策(国費5.5兆円)の具体的な中身は、東京オリンピックへの対応などの交通・物流ネットワークの整備や中小企業支援策に1.4兆円、若者や女性を含めた雇用拡大・賃上げ促進のための措置として0.3兆円、東日本大震災からの復旧・復興に1.9兆円、国土強靭化に1.2兆円、子育て世代への影響緩和策と簡素な給付措置にそれぞれ0.3兆円という構成である。ただし経済対策の効果は十分でないと筆者は考える。

 1つ目の理由は短期的な景気刺激効果が弱いことだ。安倍内閣が2013年1月11日に閣議決定した「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(国費10.3兆円)と比べると国費の規模は半分強である。「日本経済再生に向けた緊急経済対策」は景気への即効性が高い公共事業費が増えることで、2013年4~6月期以降の実質GDP上昇に寄与した。公共事業費5.5兆円から出資金や移転を除く4兆円程度が2013年度の実質GDPを0.8%程度押し上げることで日本経済に影響したと考えられる。

 今回の経済対策の公共事業費は約3兆円程度と見込まれるが、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」と比較して日本経済へのインパクトは弱く、2014年度の実質GDPを0.4%程度押し上げるにとどまるだろう。以上からは消費税増税の悪影響を十分に抑制するには至らないし、さらに公共投資の供給制約を考慮に入れれば、2014年4~6月期及び7~9月期の総需要減少の下支えとして経済対策が機能しない可能性もある。

 そして2つ目の理由が、消費税増税の影響が大きい中低所得者層への対策が十分に行われていないことだ。図7は世帯年収別に消費税増税(5%→8%)に伴う家計負担額と家計負担率、そして簡素な給付措置を行った場合の年間あたりの家計負担率を示している。図からも明らかなとおり、負担額は消費額の多い高所得世帯が大きくなるが、家計負担率は低所得世帯ほど高まるという逆進性がある。そして家計負担率が平均値を上回るのは年収700万円未満の世帯である。政府は簡素な給付措置を行うが、これによる家計負担率の改善は年収200万円未満世帯に限定され、負担率平均よりも影響が深刻な200万円以上700万円未満の世帯負担率は改善しない。

 既に前回でふれたように今回の消費税増税は断続的に家計の実質所得への負担が増す中で行われる。経済対策は家計負担の増加を食い止めるには力不足なのである。

(注)図の番号は(上)からの通し番号になっています。