今年3月中旬に国会に提出される改正保険業法案の詳細が週刊ダイヤモンドの取材でわかった。ここ最近、急速に影響力を増し、その販売手法が問題になっている保険の乗り合い代理店に対して、大きな改革を迫る厳しいものとなっている。
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改正法案のベースとなるのは、2012年から16回にわたって開催され、昨年6月に報告書が取りまとめられた金融庁主催の金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ(WG)」における議論だ。この議論を基に保険募集(販売)に関する法改正がなされ、それに伴った代理店の体制整備が求められることになる。
代理店については、その販売手法が問題化したが、本誌が入手した法改正の要旨によると、そのポイントは大きく三つある。
まずは、顧客の意向を把握して、保険商品の提案、説明を行う「意向把握義務」だ。
むろん、これまでも代理店側は顧客の意向を把握した上で保険提案を行ってきたが、法改正後は、提案から契約に至るプロセスまでも詳細に記録し、後で確認できるようにしなければならなくなる。
次に、「情報提供義務」だ。これは、複数の保険会社の商品を取り扱うには、比較可能な商品の全容を明示した上で、推奨理由をわかりやすく説明しなければならないというものだ。というのも、保険会社からもらえる販売手数料が多い商品を薦める代理店が少なくないからだ。
また、WGの議論の時点では、いつ何を販売したか報告義務を課すことになっており、保険会社の手数料キャンペーンで薦める商品が変わることに歯止めをかける。
これは実のところ、代理店だけではなく、銀行窓販にとっても痛い話だという。「保険代理店ばかりが批判されているが、銀行窓販こそ手数料の多寡で、販売する商品がコロコロ変わる」(大手生命保険幹部)ためだ。