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モバイルで変わる顧客接点

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第14回】 2014年3月28日
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 一方、後者の社内の対顧客プロセスのモバイル化についても、すでに多くの活用事例が報告されている。単にEメールやカレンダーに外出先からもアクセスできるようにするという基本的な活用に加えて、業務システムへのアクセスや営業支援情報などの活用も進展している。MR(医薬情報担当者)の営業活動支援、フィールド・サービス担当者や店舗スタッフの業務支援などの事例は数多い。

 iPadなどのタブレット端末を営業担当者に配布する企業も増えているが、道具を与えるだけでは効果を期待することはできない。現時点においては、ノートPCで行っていた顧客先のデモやプレゼンテーションがタブレット端末に置き換えられたにすぎないというのが実態といえる。社内の対顧客プロセスのモバイル化は、目的を明確にして臨むことが求められる。

顧客との関係性を管理する仕組みの高度化

 顧客との関係性を管理する仕組みはCRM(Customer Relationship Management)と呼ばれ、長年多くの企業で取り組まれてきた。CRMは「顧客を獲得し、維持し、関係性を深めていくためのビジネスシステム」と定義づけられ、以下の構成要素を必要とするものである。

 □顧客との関係に対する企業の指針
 □顧客をよく知る仕組み
 □顧客(群)別に対応できる仕組み
 □顧客との関係を評価できる仕組み
 □顧客関係を改善できる仕組み

 この定義や要件自体は今後も大きく変わるものではないが、これまで述べたような複数のチャネルに対する顧客からのアクセスの多様化、顧客のモビリティに対応したタイムリーな応答性といった点を考慮してCRMを高度化していくことが求められる。

 アクセスの多様化に対しては、顧客情報を一元化し、整合性を確保することが前提となろう。顧客の利便性を考慮して、複数チャネルの連携性を高めることも重要といえる。

 また、顧客のアクセス傾向を分析し、顧客の行動特性に応じて誘導や適切なサポートができるようにするといった工夫も必要となろう。

 一方、顧客のモビリティに対しては、顧客が外出先などからアクセスする可能性を考慮して対応やサポートに関する業務プロセスを支援する必要がある。また、顧客の行動や位置に応じて、顧客にタイムリーな情報を提供する仕組みをCRMに組み込むことも有効といえる。さらに、顧客の行動や位置を考慮して、異なる担当者、拠点、チャネルが機動性をもって連携できる仕組みを付加するといった取組みが今後さらに重要性を増すと考えられる。

 最終的にはチャネル、位置、タイミングといった顧客の行動に関する背景(コンテキスト)を分析し、商品やサービスの企画に役立てたり、マーケティングや顧客サポートの質的な向上を図ったりするために、CRM戦略にフィードバックするという大きなPDCAを回していく取組みが求められる。

☆―告知―☆

ITR代表取締役 内山悟志 基調講演のご案内

― ITR主催 エグゼクティブフォーラム ―――――――――――
『IT Trend 2014』
~デジタルイノベーションによるビジネス価値の創造~
2014年5月14日(木) 京王プラザホテル(東京・新宿)
―――――――――――――――――――――――――――――

「IT Trend 2014」は、企業経営者やCIO、経営企画部門の意思決定者の方々を対象としたエグゼクティブフォーラムです。

今回は「デジタルイノベーションによるビジネス価値の創造」をテーマに、ITRの内山悟志(代表取締役/プリンシパル・アナリスト)による基調講演、米国コンステレーション・リサーチ社 会長 兼 プリンシパル アナリスト R “レイ”ウォン氏を招聘した特別講演に加え、ITRのアナリストが集結し、全12セッションが予定されています。

■開催概要
日時:2014年5月14日(水)10:00~18:20(開場9:30)
会場:京王プラザホテル コンコードボードルーム(東京・新宿)
主催:株式会社アイ・ティ・アール
定員:600名

■プログラムと参加登録
http://www.itr.co.jp/event/forum140514/index.html
*事前登録制* ご招待ID【DOL014】の入力で無料登録

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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