Eコマースが台頭して以来、ネット上のバーチャルな世界と店舗などのリアルな世界を連携させ、顧客をより多く集客し、定着させる取り組みは重要視されてきた。しかし昨今では、スマートデバイスやSNSの普及などにより、その手法や実現技術は進化と多様化が進み、あらためてO2O(Online to Offline)というキーワードで注目を集めている。
O2Oとは、主にEコマースやWebを活用したマーケティングの分野で用いられる用語で、オンラインとオフラインの購買活動が連携し合う、または、オンラインでの活動が実店舗などでの購買に影響を及ぼすことを意味する。
O2Oの取り組みは古くからある
顧客のオンラインとオフラインにおける購買活動を連携させることで、売上げ増大や顧客のリピート率の向上を図ろうとする取り組みは決して目新しいものではない。Eコマースが台頭した当初の2000年には、チャールズ・シュアブ証券の共同CEOであったデビット・S・ポトラック氏が著書「クリック&モルタル」(翔泳社刊)でこの重要性を説いている。
これまでも、実店舗を展開する小売業やサービス業などの企業が、電子メールやホームページを活用したオンラインのマーケティング活動によってオフラインの店舗への集客を促進する取り組みや、その逆にテレビCMや交通広告などのオフラインのマス媒体で注目を集め「詳しくはWebへ」といった誘導を行うような取り組みは数多く試みられてきた。
一般的なマーケティング活動を含めて、顧客との接点の持ち方としての「チャネル」と、実際のビジネス上の収益への結びつけとしての「コンバージョン」という2つの観点から整理分類してみよう(図表1)。
本来のO2Oは、オンライン to オフライン(右上)にあてはまるもので、Webなどのオンラインを用いて顧客に接触し、実店舗への来店といったかたちでオフラインでのビジネスに誘導する手法を指している。
一方、その逆となるオフライン to オンライン(左下)は、訪問営業、チラシ、店頭対応といった従来のオフラインの手段で接点を持ち、そこからネット販売などのオンライン・ビジネスに誘導するもので、これも広義のO2Oに含める場合が多い。
一方、オンラインtoオンライン(左上)は通常のWebマーケティングやEコマースの手法、オフライン to オフライン(右下)は従来のマーケティングおよびビジネスの手法であり、これらはO2Oには含まないというのが一般的である。