複合機や印刷機の分野で高いシェアを誇るコニカミノルタのサービス化戦略が加速している。同社は今年2月、世界5極にITサービスの開発拠点を整備すると発表した。すでにアジア・パシフィック地域の拠点としてシンガポールに、さらにシリコンバレー、ロンドンにも拠点を開設し、クラウドをベースとしたサービスの開発に取り組んでいる。2014年度内には上海、日本にも順次開設する。その狙いはどこにあるのか。販売本部ICTサービス事業統括部長の市村雄二氏に話を聞いた。
複合機分野では29ヵ国でシェア1位・2位
カメラや事務機分野の老舗メーカー同士が2003年に統合して発足したコニカミノルタ。2013年4月にはそれまでのホールディングスの下でそれぞれの事業会社を展開する体制から、単一の事業会社として再スタートを切った。この間にビジネスモデルを大きく転換させ、B2B分野で大きな存在感を示してきた。その内実の変化によりドライブかけていくための組織改編だ。
現在、同社の売上高のうち複合機(MFP)や印刷システムといった情報機器事業が7割を占め、他の事業も含めてほぼすべてがB2Bとなっている。特に海外でのカラーMFP市場に強みを持つ。国内でこそ他社の後塵を拝しているが、グローバルに見ると、市場シェア1位または2位を獲得しているのは29ヵ国にのぼる。なかでも欧州に強力なネットワークを持ち、中国やインド、ブラジルなど主要新興国でも強さを発揮している。全事業の売上高のうち72%、情報機器事業に限っていえば80%を海外で稼ぐ。
「“モノからコトへ”の合い言葉の下、ハードだけでなくソフトやサービスも組み合わせ、お客様の課題を解決していく取り組みにここ数年力を入れてきた。それが功を奏して、ITサービスビジネスの売上高・利益が伸張している」と市村氏は語る。
業務システムを横断するワークフローを設計
昨今、MFPに求められるニーズは幅広くなっている。MFPメーカー各社は、操作パネルの高機能化やモバイルとの連携、情報漏洩対策、省エネといった機能面の充実に力を入れているが、機能面での差別化は図りにくくなっているのが現状だ。そのため、周辺のサーバやPCも含めた運用・保守サービスを提供し、コスト削減や業務効率化に貢献しようと、さまざまな工夫を凝らしている。