イエレン新FRB議長が3月のFOMC声明文で新記録を打ち立てた。語数が過去最高に多いのである。

 同声明文は近年どんどん長くなっている。3月で比べると、2009年は419語、13年は643語だが、今回は877語だ。バーナンキ前議長時代の最高は昨年12月の867語だが、それすら上回っている。

 文化人類学者のホルムズ・ニューヨーク州立大学教授は近著『言葉の経済』で、近年の中央銀行は言葉で経済をコントロールしたがる傾向が強いと指摘した。そういった「マネタリー・シャーマン」路線をイエレンも進み始めた。

 とはいえ、新議長はちょっと冗舌過ぎないかと心配な面もある。3月19日の記者会見に出席した「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記者は「一つの質問に対する答えが前議長よりも長い」と指摘している。“デビュー戦”だったことも加わって、イエレンはどの質問にも懇切丁寧に答えていた。

 その親切心が裏目に出たのが、「6カ月」発言だ。今回の声明文には、量的緩和策(QE)終了後からゼロ金利を解除するまでの間に「かなりの時間」があると記載された。「かなりの時間」の長さを尋ねられたイエレンは、「6カ月」と具体的数字を口にしてしまった。