今はどうなっているか。すでに皆テレビは持っている。録画もテラという大容量になり録画し放題。だから腹ぺこではなくて腹一杯になった。「不便解消型」のビジネスは終わったのです。

 今、4Kや8Kテレビという、フルハイビジョンテレビの4倍、8倍の高精細なテレビを売り出している。しかし、人間の目は650万画素だと言われている。4Kテレビは800万画素だから、すでに人間の目のキャパシティをとうに超えている。

 “お腹いっぱい”のラインを人間の目の画素数の650万画素だすると、ハイビジョンは200万画素だったから、“腹3分の1”。ハイビジョンはまだ第一幕だった。

 胃袋に大きさがあるように、人間の目のキャパシティを超えたテレビをいくら売ろうとしても、なかなか売れない。だから消耗戦にならざるを得ない。お腹いっぱいの人に対して、いくらパンを売ろうとしても買ってくれない。

 そのときにどうするかというと、値段を下げざるを得なくなって、コスト競争力のある中国や韓国メーカーに日本メーカーは負けてしまったのです。

 テレビ事業の第一幕がすでに終わっているのに、テレビメーカーはなかなか第二幕へ行こうとしない。日本のテレビメーカー各社も中国などの新興のテレビメーカーも、競って4Kや8Kテレビを開発している。

「美味しい」の追求が第二幕の鍵
定量的に計れない映像の価値は何か

――テレビ事業の第二幕はどのようなものなのか。

 不便がない時代で、皆満足している。だから第二幕は「利便創造型」だ。メーカー側が「利便」をつくり出していかないといけない。

 第一幕での特徴が、価値が定量化できるということだった。例えば、走査線が40本、100本、480本となり、カラーになっていった時代は、価値が計れた。しかし、第二幕の「利便」は、1個2個と数えるものではない。料理人と同じで、第二幕ではコストをかけて「美味しい」を追求しないといけない。