ITサービス企業の強みは、顧客企業・官庁の業務に関するノウハウを熟知し、最先端のテクノロジーを駆使して、システムを企画し、開発から導入、運用する能力にある。米国最先端のソフトウェア・ハードウェアを購入しても、SIerのエンジニアリングなくして、システムとして機能しない。

 SIをデリバリーする形態は、建設業の下請け構造をイメージすると良いだろう。元請と呼ばれるプライムベンダーを頂点に、二次請、三次請ベンダーが支えるピラミッド型産業構造になっている。超大規模システム開発(銀行のシステム統合などの数千億規模の投資案件)を得意とするプライムベンダーは、数十社の外注先をパートナーとして確保している。

注:PMは、プロジェクトマネージャーの略称。元請ITサービス各社のエンジニアであり、システム開発案件の採算性・進捗を取り仕切るプロジェクトリーダーのこと
出所:各社ヒアリングを基にBofAメリルリンチ・グローバルリサーチ作成

 SI各社の利益率は、ハードウェア・ソフトウェアの再販、システム開発、運用・保守サービスのミックスで決まる。

 ハードウェア・ソフトウェアの再販ビジネスは、ベンダー製品の卸ビジネスであり、利益率は極めて低い。

 システム開発の収益モデルは、システム開発に要するSEの人数と人月単価の積で決まる。

 運用・保守サービスは、SIerのデータセンタでエンドユーザーのシステムを運用するケースやハードウェアなどのIT機器の保守・サービス等から構成され、3ビジネス内で最も高い。

 元請となるプライムベンダー、二次請ベンダー等いずれのITサービス企業は、それら3ビジネスを展開している。

 SIerは、メーカー系、ユーザー系、独立系の3つに分類される。メーカー系は、自社のIT製品販売を手掛けるITサービス企業群であり、富士通、日立製作所、NEC、日本IBM等が挙げられる。

 ユーザー系は、親会社のIT部門から分社化したITサービス企業群であり、通信系でNTTデータ、証券系で野村総合研究所、商社系で伊藤忠テクノソリューションズやSCSK、製造業系で新日鉄住金ソリューションズ等が挙げられる。独立系では、ITホールディングス、オービック、大塚商会等がある。

IT投資環境好転で業績改善フェーズへ
中長期では構造転換への取り組みにも注目

 2013年は、ITサービス市場の回復を感じる1年となった。

 マイクロソフト社のオペレーティングシステム「Windows XP」のサポート終了や消費増税対応、金融機関のNISA対応案件等も国内IT投資回復を牽引した。製造業、流通業、サービス業などの景気に敏感な業界のIT投資指数も大幅に改善したことに加え、複数の超大規模システム開発案件もようやく動き出した。