弊社がトラック業界で注目するのは日本通運だ。同業他社対比でみた株価バリュエーションの割安さだけではなく、増収基調にある中でのコスト構造改革による収益性改善のポテンシャルが高いことが魅力と考えている。

出所:会社、BofAメリルリンチ・グローバルリサーチ

大幅な損益悪化リスクは薄れる海運業界:
各社の新たな取り組みは立ち上げ段階

 最後は海運業界に関して述べたい。海運業界は船舶の供給過剰を背景にしたグローバル同業他社との価格競争に苦しんできた歴史があり、2015年以降もコンテナ船を中心とした船舶供給の圧力はあると言える。しかし、リーマンショック以降、国内外船社のアライアンス形成や自主的な船舶供給の抑制が始まり、需要動向を意識した経営判断が下されるようになったと言える。特に2014年はコンテナ船、ドライバルク船ともに供給量の伸びが小さく、需要動向次第では運賃値上げが浸透する可能性があろう。

 弊社はドライバルク船舶の供給量が前年比5%増と、過去3年平均の増加率(9.7%増)よりも小さいことに注目している。中国の鉄鉱石輸入は、鉄鋼生産が回復すると見込まれる4月以降は更なる輸入増加が期待される。コンテナ船の2014年の供給量も前年比5.5%増と過去3年平均(7%増加)の増加率よりも小幅に留まると予想され、従来のような大幅な損益悪化リスクは薄れたと判断される。

 しかし、2015年以降は大型コンテナ船の投入が予定されており、日系海運会社ではコスト削減によるコンテナ船の早期黒字化を狙う。需給バランスが不安定な海運業界だが、日系海運会社の経営陣は安定的な利益成長を志向する姿勢に変化してきた点は興味深い。2020年にかけてのシェールガス・ビジネスの拡大を踏まえて、LNGや海洋事業といったスポット海運市況に左右されにくいビジネスを拡大させる戦略に転換しようとしている。

 弊社は短期的な業績動向だけでなく、中期的、かつ持続可能性の高い利益成長性が期待できる海運会社に注目したい。現状、各社の新たな取り組みは立ち上げ段階にあり、今後の評価はその進展にかかっている。

出所:Clarkson Research Services、IMF、BofAメリルリンチ・グローバルリサーチ作成
注:バルチックドライインデックスは、ロンドンのバルチック海運取引所が発表する外航不定期船の運賃指数