ヤマト運輸が1月から全国一斉値上げに動いた。2倍の値上げを迫られているところもあり、利用者は大わらわだ。値上げ一方では理解は得られず、それに見合うだけの品質が求められている。

きっかけはクール宅急便問題 <br />ヤマト運輸一斉値上げの裏側クール宅急便のずさんな管理が露呈し、社内調査した結果、サイズと料金徴収の間に大きな乖離があったことが判明した
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 宅配便の最大手、ヤマト運輸が配送料の値上げに動きだした。

 生花などのインターネット通信販売を行う「ゲキハナ」の店舗運営責任者の古屋悟司さんには、3月下旬にヤマト運輸の営業所から連絡が入った。

 これまで740円だった配送料が、一気に2倍の1500円になるという。古屋さんは「どう考えても赤字になる」と交渉し、900円まで下げることに成功した。

 ヤマト運輸が、全国で同様の価格改定交渉に入りだしたのは今年1月下旬のこと。2~3割の値上げ要請を受けているところは珍しくない。通販会社は「ヤマトから値上げ要請が来ている」と口をそろえる。

 川連一豊・ジャパンEコマースコンサルタント協会代表理事は、「今回のヤマトの値上げは、年商5億円規模の店舗であれば、年間1000万円くらいのコスト増になる」と分析している。

 ある物流業界の関係者は、「環境的に、ヤマトが値上げに踏み切りやすい材料が出そろった」と解説する。

 第1に、最大のライバル、佐川急便が先陣を切って値上げに踏み切ったことだ。

 宅配便業界では、長年にわたり単価の下落が続いてきた。佐川急便の荷物1個当たりの配送料は、2006年度には530円を超えていたが、12年度には460円に落ちている(いずれも上期)。

 佐川急便は、この流れを変えるべく、不採算の仕事を切ると同時に料金表を改定した。

 昨年4月、佐川急便はネット通販大手のアマゾンとの契約を打ち切った。アマゾン側の要求する配送料が「利益が出ないほど低い水準」(物流業界関係者)だったためである。