「転職した職場で自分は期待されている」

 もしもあなたが転職者だったとしたら、そう考えながら仕事をするのはもちろん構わないことです。しかし、が、過度な期待をかけられていると勘違いすると、取り返しのつかない過ちをおかす可能性があります。

 転職を決断するか否かで迷っているとき、「将来の幹部候補だと思っている」などと、甘い言葉をかけられることがあります。そしてこの甘い言葉は、転職後の立場を確約した話だと思いながら行動し、周囲との軋轢を生んでしまう人がいます。どうして、そんな勘違いが起きてしまうのでしょうか?今回は、そうした勘違いをしたばかりにトラブルを起こしてしまったある転職者の話を紹介したいと思います。

人材紹介会社経由での
中途採用者確保&転職が当たり前に!

 ここ最近、景気の回復にともなって、あらゆる業界で人手不足な状況が顕著になってきています。それを象徴するように、学生の就職活動も売り手主導に変化。来春2015年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.61倍と、前年の1.28倍より+0.33ポイントと大幅に上昇(リクルートワークス研究所の調査より)。また、3月末時点の内々定率は16.4%%と前年同月比で大幅改善しています(マイナビの調査より)。

 ただし、学生が入社するのは来年の春の話。おまけに即戦力ではありません。そこで頼るのが、中途採用です。人事部は採用活動を加速するため、人材紹介会社に人材の確保を頼る会社が増えてきました。厚生労働省「雇用動向調査」によると人材紹介会社経由での転職は約9万人(2010年)。その数は急激に増えています。一方、転職サイトで欲しい人材を確保するのは困難になりつつあります。

 取材した介護系企業の人事マネージャーも、

「掲載すれば応募はあるものの、選考を経て採用に至ることがほとんどありません」

 と嘆いていました。知名度の高い大企業・外資系企業であれば、応募数も多くて、転職サイト経由で人材の確保も可能かもしれません。ところが、中小企業は知名度や待遇面で勝負が厳しくなります。そこで、人材紹介に依頼して、このように転職相談を担当するキャリアアドバイザー経由で転職希望者にアピールする方法が選ばれるようになってきたのです。

「G社について、規模は小さいけど、業界1位の商品をいくつも有しています。これから将来が有望な会社です。一度、応募してみたらどうでしょうか?」