2011年に厚生労働省が発表したところによれば、転職による入職者は9.1%。1年で労働者の約1割が転職していることになる。年齢で見ると20代前半での転職が最も多い。

 このように多くの人が当たり前のように転職を行う時代だが、当然転職の面接に成功することもあれば失敗することもある。では失敗する転職希望者は、どのような理由でうまくいかないのだろうか。転職サービス「DODA」が行った、キャリアコンサルタント306人に聞いた「転職の実態」調査を見てみたい。

 調査期間は11月5日~11日。対象は、同社の転職サービスでキャリアコンサルタントもしくはリクルーティングアドバイザーに従事する男女306人。

「資格・スキルが有利」は誤解?
転職希望者の思い込み 

 キャリアコンサルタントらに、「転職希望者にありがちな思い込み」を3つまでの複数回答で聞いたところ、最も多かったのが「資格やスキルを身につければ有利になる」(57%)だった。次いで、「自分にはアピールできる強みがない」(40%)だった。自分にはアピールできる強みがないと思っているからこそ、資格やスキルを身につけたいと思うのかもしれない。ただし、キャリアコンサルタントらは、そのどちらも誤解と考えているようだ。

 これがなぜ誤解かといえば、DODAの資料によれば、「強みのない人はいません」という理由から。「自分では『こんな仕事はできて当たり前』と思っているようなことでも、実は強力なアピールになることが多々あるのです」(DODAより)。

 確かに、入社してから3ヵ月間で覚えた業務があるとした場合、その人にとってその業務は「入社してすぐの自分にも覚えられた、できて当たり前の仕事」であり、1~2年もその業務を続けるうちに目新しさがなくなり「誰でもできるもの」に思えてくるかもしれない。しかし、その業務が必要な企業側からすれば、その人を雇えば3ヵ月間の研修期間をかける必要がなく、しかも自社にないノウハウと経験を持っている人材かもしれない、ということになる。

 職種別にみると、「自分にはアピールできる強みがない」という「誤解」を持っている人はIT(53%)とモノづくり(39%)に携わる人が多かった。自分のどんな部分がアピールできるのかについて、転職の際に再度分析してみるのが良さそうだ。

 3つ目に多い勘違い・誤解は「第二新卒は新卒同様に未経験の仕事に就ける」(34%)というものだった。「前職での思い込みが少ない未経験の方がいい」という場合も確かにあるだろうが、「即戦力が欲しい」という企業の方が多いことは容易に想像がつく。