「今回発見された深海魚の多くは、受身的な魚で泳ぎがあまり得意ではありません。これはエネルギー消費を抑えて少量のエサで生き延びるためで、リュウグウノツカイやサケガシラなどは、普段立ち泳ぎのような形で海流に乗って漂っています。

 もしこれらが泳ぎの得意な魚なら、海況の変化で低温の層が厚くなってもそれを避けられますが、今回発見が相次いだ深海魚たちは泳ぐ力がないのでそれを回避できず、ダメージを受けてしまったのです」(尼岡氏)

 リュウグウノツカイやサケガシラだけでなく、高知県室戸岬沖で捕獲された「ホテイエソ」も、泳ぎの得意な魚ではないようだ。また同様に捕獲された「フリソデウオ」「テンガイハタ」は幼魚が多く、やはり海況の変化に対応できなかったことが発見の原因と考えられる。

まだまだ謎が多い深海魚の生態
だからこそ人はロマンを感じる

 ただし、それでも今回の「大量発見」にはまだ謎も多い。たとえば室戸岬のホテイエソは、泳ぎの得意な魚でないことから何らかの海況の変化が原因だと考えられるものの、「とにかく生態がわかっておらず、打ち揚げられた場所も前例のほとんどないところ。だから、どんな海況の変化によって揚がったか、その内容までは予測がつかないです」と尼岡氏は語る。

 このように、様々な要因により彼らが住む環境に変化が起きていることは確かではあるが、それが天変地異の前ぶれではないかという不安は、伝説の域を出ないようだ。

 そうした伝説とも相まって、生態が謎に包まれている深海魚たちに、私たちは言いようもないロマンを感じるのかもしれない。ブームはまだまだ続きそうである。