何かをしてあげたら「プラス萬」
してもらったら「マイナス萬」に

「藤野地域通貨よろづ屋」の説明会の模様。地域通貨ブームが下火となるなか、会員は順調に増えている

 藤野地域通貨よろづ屋の仕組みはこうだ。まず参加希望者は入会金1000円を事務局に支払い、自分の通帳をもらう。年会費などの負担は一切ない。入会時に自分ができることやしてもらいたいこと、連絡先などの情報を提示し、メーリングリストなどによって会員間で共有することになる。入会した時の通帳は何の記載のない「0萬」で、ここからスタートする。

 モノやサービスの交換はそれぞれの会員が1対1で取引し、何かをしてあげたときはプラス、してもらったときはマイナスをそれぞれの通帳に自分で記入する。その単位は「萬」(よろづ)で、目安として1萬を1円とする。

 何萬にするかは当事者間で話し合って決め、両者のプラス・マイナスはゼロにする。互いの通帳にサインし、取引はこれで終了となる。通帳に「お互い様」のやり取りを記録するだけなのだ(取引に萬と円の併用も可)。

 取引の申し出はメールや電話などで行い、その後当事者間での交渉となるため、自然に顔の見える関係が地域内に広がっていく。3年ほど前に家族で藤野に移住した「トランジション藤野」のコアメンバー・高橋靖典さんは、「萬があるので気兼ねなく助けを求められるようになっていまして、円では出てこないような色々な取引が生まれています。メーリングリストとの併用ですので、地域の知り合いが増えました」と、萬の効用を語る。

 実際、子どもの椅子や机、かばんなどが萬を通して地域内をぐるぐる回っていたり、引っ越してきた人が萬で家具一式を揃えられたり、モノやサービスの地域内循環が拡大しているという。

 また、最終バスに乗り遅れた人が会員仲間に電話し、2000萬で送迎してもらったり、旅行中の植物への水やりを萬で依頼するなど、その使い方は多岐にわたっている。つまり、萬の存在が地域内の様々な潜在ニーズを掘り起こすことにつながっていると言える。

 藤野地域通貨よろづ屋で着目すべき点は、「マイナス萬」についての捉え方だ。規約では「退会の際には収支をゼロにするよう心がけてください」となっているが、説明会でmeenaさんはこんな話をしていた。