その中で、結果を求める心理から1つのことに固執し過ぎてしまい、別のことを見逃すことがあるという。

「たとえば、1994年のW杯アメリカ大会の最終予選で起きた『ドーハの悲劇』もそれに近いのではないでしょうか。当時の悲願であるW杯の出場が現実的になった瞬間、結果への意識が強くなりすぎた。そこで選手たちは集中の切り替えがうまくいかなくなり、最後の失点を許したのだと見ることもできます」(同)

 岡田氏は、勝利への執着心の差が基本的なミスにつながっていると言った。ただ、基本的なミスの中には、大儀見氏の言うような「集中のし過ぎ」が起因となっているものもあるだろう。どちらが正しいということではなく、それほど複雑で、場面により異なってくるのが「メンタル」ということなのかもしれない。

 いずれにせよ、日本代表にとって、選手1人ひとりがどのようなメンタルで試合に臨めるか。それが大きなカギとなることは間違いなさそうだ。

ビジネスマンにとっても重要な「過程志向」
日本代表の「メンタル戦」を観戦しよう

 このことはスポーツ選手に限らず、私たちビジネスマンにもあてはまりそうな話である。結果を求め過ぎてしまい、視野が狭くなるという経験は多くの人にあるだろう。結果を重視し過ぎることを止めて過程を意識するように、考え方を少し変化させてみるのもいいかもしれない。

「極端な例ですが、みんなが『おいしい』というカレーライスをつくるのは結果目標。そのためにどういう食材を使って、どんな調理の工夫をするかが課題目標。たとえばその課題目標部分をリスト化するなどして、今までよりも過程に目を向けると、次第に課題目標を重視するクセがつくと思います。ビジネスマンにとって、課題目標志向性になるよう、いかに普段から自分に言い聞かせられるかがポイントと言えるでしょう」(同)

 結果が問われれば問われるほど、当事者たちにのしかかる精神的な負担は大きくなる。それが、4年に一度のサッカー世界一を決める舞台となればなおさらだ。サッカーW杯に出場する選手たちに必要とされる「メンタル力」は、並大抵のものではないだろう。そしてその「メンタル力」は、私たちの仕事において、彼らが見せるサッカーの技術よりももっと参考になるかもしれない。

 グループリーグでの日本代表の対戦相手は、コートジボワール、ギリシャ、コロンビア。彼らは自らのメンタル面をうまくマネジメントして、決勝トーナメントに進めるだろうか。これから約1ヵ月間、サッカーファンにとっては「眠れない夜」が続きそうだが、「メンタル戦」の観点からサッカーW杯を観戦するのも、悪くないのではなかろうか。