「やはりミスマッチ解消が大きいですね。結果的に1年~1年半経験してから入社してくれるので、馴染むのが早く、研修も少なくて済むというメリットがあります。確かに現場の管理職には負担にもなりますが、うちの会社は人間が最も重要な資産。ですから、インターンシップにも理解してくれています」(山本マネジャー)

 そうはいっても、学生であれば、他の会社に興味を持つだろう。そこで同社はインターン期間中も他社の選考を受けることを認めている。普通ならば、学生が他社に目移りしてしまうのが怖いところだが…。

「もちろん他社のいろんな誘惑もあるでしょう。ですが、結果的にうちの会社を見ていてくれればいいんです。私たちは、採用・就職を“結婚”、インターンは“同棲”のようなものと捉えています。面接という単なる“お見合い”だけではお互いの本質は見えてきません。そうして同じ時間を過ごすことで、お互いが一緒に働きたいと思うことが一番の理想なのです」(山本マネジャー)

無策なインターンで人材は採れない
スケジュール変更に躍らされない戦略を

 8月選考開始となれば、企業は学生と接触できる時間が短くなるため、例年よりも志望する学生を集めにくくなるのは間違いない。だから、それを踏まえて1年前のインターンシップで囲い込むというのも1つの戦略だろう。

 また、学生たちは選考時期の後ろ倒しから「早く楽になりたい」「そして早く遊びたい」気持ちが高まってくるはずだ。しかも、「インターンシップは内定につながるのではないか」「選考に有利」ではないかという思いから、企業のインターンシップ戦略と需給が合致していると言ってもいい。

 しかし、ただ企業側は自社の認知度を上げたい、(志望学生の)母集団を形成したいというだけで、例えば1日だけの形式的なインターンシップを行うのでは、自社にあった人材獲得には全くつながらない可能性がある。

 新卒一括採用という仕組みと、一斉解禁というお祭りに躍らされてしまっている学生と企業。過去をさかのぼれば、選考期間の変更が幾度となく行われているが、今回の結果がどうなるか、誰にも完全な予測は難しい。しかしこの事態に躍らされ、「みんなやっているから私も、うちの会社もインターンしよう」とやみくもに参加し、ただ忙しくなるだけではもったいない。就職・採用活動が混迷する時期ではあるが、学生も企業も自らが重要にしている“軸”を考え直すきっかけとして、インターンシップを利用するのが賢明ではないだろうか。

(ダイヤモンド・オンライン 林 恭子)