かすみがうら市は、首長と議会が真正面から激突し続けるねじれ型市政の代表事例のようになった。あたかも「解くことが不可能では」と思ってしまうほどねじれていった。

 行財政改革を公約の柱に掲げた宮嶋氏は、市役所内改革に強いこだわりを持っていた。漫然とルーティンワークを続ける職員が多く、市役所がぬるま湯の世界になっていると実感していたからだ。それまでは職員の昇進・昇格も年次によるトコロテン方式で、実力は二の次。もちろん、若手の抜擢などはなかった。

 意欲や能力を欠いたままの職員も少なくなく、無駄と非効率の「お役所仕事」に庁内全体が染まっていると認識していた。人員や給与の削減とともに、役所組織や業務の効率化・適性化が急務と考えていたのである。 

「お役所仕事」で行政が停滞
厄介だった地域固有の裏事情

 もっとも、職員の意識改革や役所の組織・業務改革はどの自治体も取り組む共通課題であり、また、いずこも成果をあげるのに四苦八苦する難題でもある。改革に対する異論や抵抗、反対の声が必ずあがるものだからだ。しかし、かすみがうら市のケースは他の自治体よりもさらに厄介なものとなった。それはなぜか。地域固有の裏事情が大きな障壁になったと考えられるのだった。

 地域内に大きな事業所がないところでは、いずこもお役所が最高の就職先となる。安定と高給、信用の3点を確実に手に入れられる職場であるからだ。特に、地元に残らざるを得ない事情を持つ者にとっては、願ってもない職場である。このため、ひと昔前までは職員採用を巡ってよからぬ噂が広がったり、不祥事が発覚する自治体が少なくなかった。

「縁故や議員関係、金で採用された職員がいました。議員の口利き代は500万円というのが、半ば公然の秘密でした。何でああいう人が役場職員になったんだろうと思うような人が、何人もいました」

 こんな衝撃的な話をするのは、旧千代田町在住のかすみがうら市の行政関係者。ワンマン町長時代の話で、地域の名士や実力者、議員の子弟などが縁故採用されていたという。その目的の1つに選挙対策があり、また、大物議員による口利きも珍しくなかったと昔を振り返る。

 こうしたことの積み重ねにより、役場職員が公僕ではなく一種の特権階級のようになってしまい、一般住民から遊離していったと指摘するのである。