大相撲9月場所が始まった。

 注目の人気力士・遠藤(西前頭筆頭)は、いきなり横綱日馬富士と対戦。昨年の5月場所の鶴竜戦以来2度目の金星を狙ったが、はたき込みで敗れた。白鵬は千代大龍に、鶴竜は常幸龍に順当に勝ち、横綱陣は安泰。だが、新大関の豪栄道は、やはり将来が期待される高安と対戦し、土俵際まで押し込んだものの突き落としで逆転負けを喫した。また、先場所12勝3敗と好調だった琴奨菊は東前頭筆頭の照ノ富士に敗れた。大関陣で勝ったのは稀勢の里だけという、ほんの少し波乱のスタートとなった。

若貴ブームが去り
景気も低迷していた2004年から漸増

 ところで今場所、各取組にかけられる懸賞の本数が史上最多になったという。懸賞の申し込みは、対象となる取組の5日前だが、今場所は初日前からの申し込みが急増。トータルすると1300本を超えることが確実になったという。これまでの最多記録は今年の1月場所の1198本。それを大きく上まわることになる。

 なぜ?と思う人も多いだろう。確かに遠藤という人気力士は現れた。新大関・豪栄道は実力をつけ、11年間にわたる日本人横綱不在記録をストップさせてくれそうな期待感もある。また、エジプト人力士・大砂嵐ら個性派が土俵を盛り上げている。とはいえ、かつての大相撲人気を取り戻すところまでは至っていない。

 ちなみに若乃花、貴乃花の登場で大相撲フィーバーが起こった1990年代前半の年間懸賞本数は4000本前後。年6場所で割るとひと場所600本から700本といったところだ。若貴が兄弟で横綱になってからは、さらに大相撲人気は盛り上がったが、その90年代後半にはなぜか懸賞本数は減っていき、貴乃花が引退する2003年には、ひと場所400本程度まで落ち込んだ。おそらく不況の影響だろう。

 ところが2004年から懸賞の本数は増加に転じる。まだ、不況は続いていたし、日本人横綱が不在となり、大相撲人気に陰りが生じていたにもかかわらずだ。

 なぜなのか。