力士の出身国・戦法も多彩に
大相撲はある意味「国際化」している
現在行われている大相撲秋場所の注目ポイントは大関日馬富士の綱取りである。
全勝優勝した先場所に続いて今場所も9日目まで全勝。めぐってきた綱取りのチャンスを逃してなるものか、という執念を感じさせる相撲を連日取っている。日馬富士がこのまま順調に白星を重ね横綱に昇進することができれば、2年以上続いた白鵬の一人横綱は終わり土俵の見ごたえは増す。ところが、そんな話題があるにもかかわらず、両国国技館は空席が目立ち盛り上がりは今ひとつだ。
日馬富士の綱取りの前に立ちはだかるはずの5人の大関のうち琴欧洲、琴奨菊、把瑠都の3人が負傷休場してしまったこともあるだろう。それ以前に昨年春の八百長発覚に代表される不祥事の頻発に大相撲を見限った人が相当いるのかもしれない。
また、相撲人気低迷の理由として「強いのは外国人ばかりで、それに対抗できる日本人力士が出てこない」ということがよく言われる。だが、これに関して今の大相撲ファンはさほど気にしていないようだ。
今場所の幕内力士42人中15人が外国出身者。出身国もバラエティに富んでいる。一番多いのはモンゴルの7人だが、ブルガリアとグルジアが2人ずつ、エストニア、ロシア、ブラジル、チェコもひとりずついる。こうした外国出身力士は相撲文化のないところで育ったため、腰を低くして前に出るのが基本の日本人力士とは異なる相撲を取る。多くはレスリング出身で特長は巨体とパワーを生かした投げ技。チェコ出身の隆の山は幕内最軽量(100キロ)だが、スピードと多彩な技で観客を沸かせる。風貌も動きも“アスリート”といってよく「相撲を取っている」というイメージはない。
一方、モンゴル出身力士は投げ技主体のモンゴル相撲「ブフ」が身についているが、体型は日本人に近く前に出る相撲も取れる。突き押しと投げの両方を武器にできることで強さを発揮している。