大企業を相手にするといっても
全員を相手にするわけではない

それとは別に商品開発の現場には、さまざまな意識の違いが生じますが。

根津 商品開発の会議の場には、いろんな立場の人が、いろんな部署から、いろんなものを背負って集まってきます。意見が対立することもありますが、「いいものを作りたい」という思いは共通です。そのなかでの僕の使命は、ファシリテーターとして会議のアウトプットを最大化することです。批判的なことを言う人とも対話を続け、発言を引き出し、批判の裏にある真意を探る。そんな作業を通じて「チームの一体感」が生まれてきます。また、その場で意見を集約して1枚のスケッチにすると、ベクトルが一気に収束したりする。

「デザイナーはやりたいことばかり言う」とか「設計の人はできない理由ばかり言う」みたいな対立があるとすれば、基本的にコミュニケーション不足です。「できない」の背景に何があるのか分かるまで粘り強くコミュニケートすれば「じゃあ今回はがんばるか」みたいなことになるかもしれない。コミュニケーションを深めれば解決方法は必ず見つかる。世の中、どうしようもないことって、そうそうありませんよ(笑)。

大企業、中小企業、個人商店……と、組織形態は違えど、その中の人というレベルでは「いいものが作りたい」という点で共通しているということですね。

根津 本当にその通りです。大企業といっても、常に全員を相手にしているわけではありません。最終的にはAさんとBさんという個人の関係になる。今日のようなインタビューでもそうです。チームとして「いい記事を作ろう」という思いが共有できていることが大事で、所属が大企業だろうが中小企業だろうが個人だろうが関係ありません。