中国側は「解決しないと話はしません」と言うなら、永遠に日中は話はできないということですね。領土に関する問題は、そういう解決のできない、答えの出ない類いのものなんです。棚上げだって言ったって、日本にとっては棚に上げるものがないんだから、どうやって上げるのか。文書にも何も書いていないわけですからね。

 次に靖国参拝問題です。この問題をクリアするには、安倍首相が譲歩するか、習国家主席が譲歩するか、しかない。でも両者ともに譲歩する気はまったくない。話し合えって言ったって、何も進まないですよ。

 じゃあ、どうするのか。どうやったら話し合いができるのか。こうした問題以外のテーマを提示しないと行けないということです。

 何があるのかというと、私は唯一の道だと思いますが、日中国交正常化の際に交わした4つの日中共同宣言を確認することです。政治家は両国ともにこの声明を読み直すことです。

 田中角栄首相が第64代、安倍晋三首相が96代の総理大臣です。間に32代の総理が日本にはいました。中国も今まで十数名の主席と総理がいます。両国の歴代の指導者は日中関係の改善と発展に多大な努力をしてきた。国民も努力をしてきました。

 今の安倍首相と習近平国家主席は、歴代の指導者が積み重ねてきた努力を水泡に帰そうとしている。そんな権限は、二人にはないですよ。1972年以前の状態に戻そうとしているんでしょうか。そんな権利、二人はあると思っているんですかね。ドアはオープンだとか言っていますが、国交正常化しているんだから、42年前からずっとオープンですよ。

 だから、否応なく顔を合わせるAPECという国際会議の場で、どちらがドアを叩くのかということではなくて、会って話をするのがいいのではないかと言っているわけです。日中首脳会談で何を話し、何を合意するのか。そう考えたときには、4つの政治声明を確認するということしかないのだと思います。

政治は国民を幸せにすること
日中関係においてはどうだったのか

――丹羽さんのおっしゃることは分かります。分かりますが、今の日中関係はどうしてもこの2つの問題に拘泥してしまっていて、先に進みません。4つの政治声明について確認するということにしても、2つの問題を、どう処理するのかという問題は依然として残ります。

 島の問題については、とりあえず凍結するしかないと思います。棚上げではないです。凍結です。一切、お互いに触れない。根本的な解決は、その氷が溶けてから取り組むということです。春が来たら氷は溶けるけど、その春は50年後かもしれないし、100年後かもしれない。永遠に来ないかもしれない。

 それよりも、漁業協定や資源開発、青少年の交流事業、地方都市同士の交流、こうしたことを実行しましょうや、と。そういう処理の仕方をするしかないと思います。

 あの無人島を、急いで中国がとりにくる、ということはないでしょう。急いでとって、どうするのか。それは日本に対しても同じで、2012年9月に、当時の野田首相は石原東京都知事にが騒がれて、急いで国有化しちゃったわけだけど、そのあと、あの島はどうなったのか。何か変わったのか。

 野田さんも石原さんも、急いで国有化して、その後日中関係がおかしくなってしまって、何の説明もない。知らん顔だ。日中関係が悪化して、日中両国に関わる国民を不幸にして、いったい政治って何なんだということです。政治は国民を幸せにするためにやるものでしょう。この二年間、何だったんだということです。これに対して、野田さんも石原さんも、説明責任があるでしょう。