アマゾンジャパンや楽天などが牽引役となり、右肩上がりで成長を続けているeコマース。昨年には11兆1660億円と、とうとう10兆円の壁を突破した。ネット通販の土俵ではアマゾンに勝てないが、リアル店舗とネットを融合させることができれば、アマゾンに対抗できるのではないか――。セブン&アイ・ホールディングスが押し進める「オムニチャネル」構想は、新しい流通業のあり方への1つの解答だ。

 オムニチャネルとは、リアル店舗やオンライン店舗など、あらゆる販売チャネルや流通チャネルを連携させてお客にアプローチするという考え方だ。

世界でも類を見ない流通コングロマリットが取り組むオムニチャネル。セブン-イレブンの店舗網が一番の武器となる

 セブン&アイグループは、グループ内に総合スーパーからコンビニエンスストア、百貨店、さらには赤ちゃん本舗やロフトといった専門店など、さまざまな業態の店舗を持っている。オムニチャネルを進めて行けば、お客は西武百貨店で売っている、とらやの羊羹を自宅近所のセブン-イレブンで受け取ったり、赤ちゃん本舗のベビーカーを、やはり近所のイトーヨーカ堂で受け取ることもできる。

 いずれ、自宅そばのセブン-イレブンに足を運べば、セブン&アイのグループ企業が持つ、あらゆる商品を購入することができる時代が来るかもしれない。

世界でも類を見ない取り組み
グループ企業をどう融合させるか

 昨年秋、セブン&アイの幹部たちは米国の百貨店・メイシーズを視察し、オムニチャネルの先進事例を学んだ。しかし、セブン&アイはメイシーズと違い、さまざまな業態の企業の集合体だ。こうした流通コングロマリットがオムニチャネルに乗り出す例は世界でも珍しい。当然、越えなければならないハードルも高い。

 オムニチャネル実現のため、セブン&アイ内では、サイト構築や物流、商品開発、店舗での実験など、5つのプロジェクトを進めているが、やはり難しいのが、各業態の特性の違いをどう融合させるか、だ。