アベノミクスの賛否を問う衆議院選挙の結果は、安倍政権の趨勢だけでなく、日本経済・日本株の行方を占う試金石となる。
最近になって矢継ぎ早に採用された安倍政権の経済政策、すなわちGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など公的年金基金の運用見直し、日本銀行の追加金融緩和、消費税再増税の延期、経済対策を盛り込んだ2014年度の補正予算は金融緩和(第1の矢)と財政支出(第2の矢)によりデフレ脱却を図るというアベノミクスの原点回帰に他ならない。
しかし、円安・株高に終始したこれまでのアベノミクスが、消費の増加、設備投資の伸びといった経済の好循環を取り戻すためには、経済政策(アベノミクス)に対する国民の信任(共感)が必要不可欠である。
世論調査では自民党支持層が約30%、野党支持層が合算で約30%と五分五分の勢力を保つ中、皮肉なことに残り約40%の無党派層が選挙結果、つまり日本経済の行方を大きく左右する。
自民党が高支持率と野党の候補者乱立による共倒れといった「敵失」を追い風に地滑り的な勝利を収めた前回選挙(12年12月)を上回る議席数を獲得できるか否かは不透明だ。安倍内閣への支持率は40%台に低下している。一方、野党も準備不足から候補者擁立や選挙協力に遅れが目立つだけでなく、維新の党(当時は日本維新の会)が起こした旋風は「微風」になってしまっているといわれている。
自民党の獲得議席数によって来春に向けた次の六つの株価シナリオを想定する。