「ブランディング3.0」とは

 ここで、よく注意をされたい。デジタルメディア、ソーシャルメディア、スマートフォンなどを、自社のブランディングにどう上手に活用しようか、という思考方法だけでは、ブランドという概念が「流動化」し、時に自律的な動きをする「生命体」となりつつある状態には十分対応ができない。

 例えばソーシャルメディアは、それ自体が流動的である。人々の思念の集合体が、大きな魂のようになり、その魂が器に閉じ込められた、生命を持つ「知的有機体」とも言えよう。

 となれば、ソーシャルメディアという生命体と上手に「お付き合い」をしながら、ブランドをどう変えていかなければならないか、を思索し、発想し、議論し、業務を改善しなければならない。上記のスターバックスやKLMオランダ航空は、企業内の発想・思考方法自体を押し広げるための、ある意味、企業文化の変革の事例である。

「ユーザーの声を聞く」「ユーザーからフィードバックを得る」だけでは(これらも時には必要であるが)、現在・未来のユーザーの心を動かすことは難しい。ユーザーをブランドのストーリーに「巻き込み」、ユーザーにブランドのストーリーを「語り継いでもらう」ためには、「ユーザーをブランディング活動に組み込む」ことが必要だ。そのためには、ソーシャルメディアを広告やリサーチに活用することや、ましてやターゲット顧客のライフスタイル・嗜好に合いそうなオンラインコミュニティのプラットフォームを企業側が準備する、といった単純な施策では絶対に実現しない。

流動化し、知的生命体・有機体とも言える存在となりつつあるブランドに取り組み、ブランドのあり方を軸にして組織・文化・業務オペレーションを改革していく。我々は、そうしたブランディング活動を、「ブランディング3.0」と呼んでいる。