原油相場は、12月後半にいったん横ばいで推移し、ある程度の底堅さを見せる局面もあった。
しかし、ギリシャ問題などから世界景気の先行き不安が強まる中、年末以降、再び下落ペースが速まった。1月に入ってからの下落率は、国際指標であるブレント原油で21%、米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油で17%まで拡大した。
12月後半に原油相場が底堅さを見せた背景には、16~17日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)を受け、利上げが慎重に進められるとの見方が強まったことなどが、投資家心理を好転させたことがあるとみられる。
その後、原油相場が再び大きく下げた理由として、ギリシャ不安の高まりから金融・商品市場全般でリスク回避的な投資行動が強まったことが指摘できる。
ギリシャでは次期大統領の選出をめぐる混乱が拡大し、金融支援の条件である緊縮財政政策を放棄したり、ユーロ圏離脱問題に発展することへの懸念が強まった。このため、世界的に株価が急落し、原油相場も追随して下げた。
原油安が世界経済の不安定さを示す象徴的な存在となり、新たな不安定化要因の発生源となるとの懸念も強まっている。1月7日には、シェール開発を手掛ける小規模企業が経営破綻したと報道された。1月中旬に見られた銅市況の大幅下落も、原油安に連動した面があろう。世界景気の先行指標とされる銅市況が急落したことで、不安心理がいっそう強まった。