今回は現在進行形の事例を紹介したい。こちらの話もどういうわけかきちんと報じられていない。

 熊本県菊池市が市税を滞納していた市議に特別な対応をしていたことが判明し、市議会が調査特別委員会(100条委員会)を設置して、真相解明に動いている。その5回目の会合が2月18日に開かれた。この日は税務を担当した市の元幹部ら3人への証人尋問(非公開)を予定していたが、元総務部長が病気を理由に欠席したため、2人への尋問となった。

 菊池市では、数年前から4人の市議に地方税を滞納しているとの疑惑が持ち上がっていた。事態を憂慮した市議会は2012年3月に100条委員会を設置し、真相解明に乗り出した。だが、このときに設置された100条委員会はトンデモないものだった。

 というのも、議会側は「議員の個人情報が漏れているのでは」という点のみを問題視したからだ。肝心要の市議の税滞納の真偽については一切触れず、「誰が議員の税滞納の情報を漏洩したか」を究明する場にしたのである。

議員は守られ、担当職員が懲戒処分に
疑惑議員が牛耳る菊池市の100条委員会

 それもそのはずだった。このときの100条委員会のメンバー8人の市議のうち4人が、滞納疑惑を持たれていた当の人物だった。実は、100条委員会設置を強く主張したのも彼らだった。そんな委員会メンバーが、市の担当職員などへの聴取や訊問を行った。市民に知られてはならない自分たちの極秘情報を洩らした犯人捜しに、躍起となったのである。

 一方、市側も担当職員ら30人への聞き取り調査を実施し、その結果を100条委員会に報告した。そのなかで「議員が滞納しているという情報を知っているか」との質問に対し、13人の職員が「職務上知っている」と回答したことが明らかになった。

 このときの100条委員会は、2012年6月に「漏洩の確証は得られなかった」という結論を出した。しかし、市当局は担当職員2名を強引に懲戒処分にした。納税情報へのアクセス数が多いというのが、処分理由だった。真面目に仕事をしていた職員がスケープゴートにされる形となったのである。その一方で、福村三男市長(当時)は「市議会議員の滞納はなかった。過去まで遡って調べる必要はない」と議会で答弁した。