DOLでもおなじみの人気連載「STAY GOLD! リーゼントマネジャー岡田兵吾のシンガポール浪花節日記」の著者であるマイクロソフトシンガポールシニアマネジャー・岡田兵吾氏を招き、当連載のホストを務める秋山進氏と対談企画が実現。今回は、前回に引き続き、残業の是非からシンガポールと日本の違い、マネジャーのあり方まで、熱く語り合った内容の後編をお届けする。なかでも、リーゼントマネジャーが教える驚愕の「リーゼント式処世術&英語術」は必見だ。(構成/天田幸宏)
完成度なんて6割で十分?
日本企業は完璧を求めすぎ
[マイクロソフト シンガポール シニアマネジャー]
大阪生まれ。同志社大学工学部卒業後、アクセンチュア(日本/アメリカ)、デロイトコンサルティング(シンガポール)、マイクロソフト(シンガポール)で19年間、業務・ITコンサルタントとして活躍。シンガポール移住11年、永住権を保持し、近年はアジア全域の新事業開発、業務改善、組織改革に従事。 人生の目標は「ソーシャル・チェンジ(社会変革)」、座右の銘は「Stay Gold!」。グローバルビジネス経験を活かして日本およびアジアの顕在化した社会問題を解決し、多くの人々が希望をもてる社会の実現をめざしている。
秋山 岡田さんの連載で大きな話題となった「完成度なんて6割で十分」という記事がとても印象に残っています。確かにそうだなあと思いましたよ。IT業界のように変化が激しい業界ほど、それは可能だし必要だと思います。
岡田 いったん完成したプログラムを修正することを業界用語で「パッチ」と言いますが、外資系はパッチで成り立っていると思います。かつて、膨大な仕事量に追われ、かつ納期だけは厳守しなくてはならないという窮地に追い込まれた時、以前アメリカで働いていた時に学んだことを思い出しました。それは「ベストではなく、フィージブル(実現可能)を目指す」こと。どれくらいが実現可能かというと、だいたい6割ですね。それまでの僕は「海外のシステムは簡素すぎる! 日本のシステムだけが素晴らしい!」と本気で思っていましたら、この発想の転換はコペルニクス的な出来事でした。
秋山 そろそろ日本でも、大事なところだけ押さえてどんどん前に進めよう、となると良いのですが。岡田さんがおっしゃるように、仕事って途中の段階で完成度を高めてもどうせ変わってしまう。最後の10%、20%の完成度を上げるためには、60%やるのと同じくらいの時間とエネルギーがかかりますよね。それを仕事の全過程でやっていたら、モノが出来上がったころには、状況が根本的に変わってしまっている。
岡田 コストも考えたほうがいいと思います。商売には2割の売れ筋が売り上げの8割をつくる「二八の法則」があるように、日本企業はそれをもっと素直に受け入れたほうがいいですね。