「野球型」から「サッカー型」の
マネジメントへ

1967年生まれ。筑波大学卒業後、日本テレビ放送網に入社。コンピュータシステム部門に配属され、多数の新規事業立ち上げに携わる。2000年にソニー入社。ブロードバンド事業を展開するジョイントベンチャーを成功に導く。03年にハンゲーム・ジャパン(株)(現LINE(株))入社。07年に同社の代表取締役社長に就任。15年3月にLINE(株)代表取締役社長を退任し、顧問に就任。同年4月、動画メディアを運営するC Channel(株)を設立、代表取締役に就任。

  LINE株式会社には、そのエコシステムが存在します。

 スポーツにたとえれば、「野球型」よりも「サッカー型」の組織体制です。

 野球はすごく管理されたスポーツだと思います。打順が決まっていて、自分が何番目に打つのかがわかる。ポジションも固定的で、ピッチャーがキャッチャーをやることはまずない。 そして、一球ごとに監督がサインを出して、選手たちをコントロールすることができる。監督の采配がゲームに及ぼす影響が非常に強いスポーツです。

 一方、サッカーはきわめて流動性が高いスポーツです。一応ポジションはありますが、状況次第でいくらでも変わります。場合によっては、ゴールキーパーがシュートを狙ったっていい。しかも、監督はゲームをコントロールすることはできません。一瞬一瞬の判断は、すべて選手に委ねられているのです。ゲームの行方を左右するのは、選手一人ひとりの技術と、チームとしてのコンビネーション。つまり、彼らの間で良好なエコシステムが機能しているかどうか、なのです。

 イノベーションを生み出すのは人間であって、システムではありません。
 社員をシステマチックに管理しようとすればするほど、イノベーションから遠ざかってしまうのです。逆に、彼らが生き生きと仕事ができるエコシステムを生み出したときに、はじめてイノベーションの可能性が生まれる。だから、今やるべきことはシンプルです。「経営とは管理することである」という固定概念を捨てる。これが、イノベーションへの第一歩だと思うのです。