セールスレップは成功報酬型の販売代行業
それに対してセールスレップはメーカーから製品を買うわけではありません。「買わないとすると何の裏書きがあるのか?」というと“合意”があるのです。
「我々はカリフォルニア、ロサンゼルスでさまざまな医療機器を販売しているセールスレップです。あなたの会社(日本メーカー)の医療機器、当地域でも需要があると思います。ぜひ、我々に販売代理を任せてください。ついてはカリフォルニア州で我々が売り込みに成功したら、売上の15%をくださいね」といった成功報酬の約束です。
その合意をもって、セールスレップは医療製品の販売活動を始めます。具体的にはカタログやビデオやサンプルをもって、カリフォルニアの病院や研究所等を回り始めるということです。もちろんホームページでも宣伝します。
それでUCLA附属病院が「この製品、面白そうじゃないか。手始めに1台購入しよう」ということになったとします。その商談はセールスレップが行うのですが、商談がまとまった時点で、製品は日本のメーカーからUCLA附属病院に直接に送られます。
そして、ここが大事なのですが、代金はUCLA附属病院からセールスレップを経由せずに、日本メーカーに直接に送られます。
日本メーカーは代金受け取り後に「セールスレップさん、ありがとう。おかげさまでUCLA附属病院に無事1台が納入できました。我々は代金の1000万円を受け取りました。約束どおり、成功報酬として15%の150万円を支払います」とお金を振り込むのです。
ポイントは何かというと、この一連の取引の中で、セールスレップはそのメーカーの商品を自分では一度も所有していないということです。彼らは、まさに販売の代行だけして、その手数料を成功報酬してメーカーから受け取ったのであって、ディストリビューターのように自分が買って誰かに売り、その差額で儲けたわけではないのです。
このように「売る製品の所有権をもつか、否か」がディストリビューターとセールスレップとの定義上の差異というわけです。それだけのことですが、これがさまざまな違いを生み出し、自社の製品や体制に合った販売代理店を選ぶ際のポイントにもなってきます。