私が新卒の時に知り合ったユダヤ人富豪が私にこう言いました。
「卒業、おめでとう。キミに、はなむけの言葉を贈ろう」
1) 何事も10年かかると思いなさい。
もしキミが金持ちになりたいと思えば、金持ちになるのに10年かかるという前提で行動をとれば、『これで、あなたも今すぐミリオネアに!』という商法にひっかからないからね。
2) 「すべて100%自己責任だ」と思いなさい。
親のせいや、国のせい、時代のせいにしてはいけない。私達は日々、刻一刻、次に何をするか決めて行動している。その積もり積もった結果が10年後のキミになるのだ。
私はこのユダヤ人大富豪のように、不動産でミリオネアになろうと思いました。ところが、当時、新卒で若かった私は、彼のようなユダヤ人大富豪が言ってくれた言葉にどれほど貴重な教えが凝縮されているのかさえ気がつきませんでした。
その結果、彼の言葉を重く受け止めず、右から左に聞き流してしまったのです。
「馬の耳に念仏」とは、よく言ったものです。
人間はみんな、失敗を
体験しなければ学ばない
さっそく私は若者向けの「無料不動産投資セミナー」へ行きました。これはエビでタイを釣る典型的な商法でしたが、社会人1年生の私にはそれさえ見抜けませんでした。1時間ごとに違ったテーマがあり、それぞれのスピーカーが「私はコレでミリオネアになりました」的なサクセスストーリーを話します。そして、最後に「今日、ここにいらっしゃる皆様に特別ご奉仕価格でこの投資成功キットを30万円で!」と法外な値段を言います。
「これが高いって? 投資家の皆さんはこのキットも『経費として控除できる』のですよ!」という彼らの殺し文句に背中を押されました。きっと、サクラもいたのでしょう。私はすっかり会場の雰囲気にのまれて次々に商品を買いあさりました。
セミナーが終わった頃には、両手にたくさんの「投資成功キット」を持った私が立っていました。当時のお金で、1日100万円も散財したのは、生まれて初めてでした。すべてクレジットカードで購入し、支払いに1年近くかかりました。
その「投資成功キット」の数々をユダヤ人大富豪に見せると、彼は笑いながらこう言いました。
「あの時、キミに言ったはなむけの言葉には3つ目がある。それは、『人は失敗を体験しないと学ばない』ということだ。この体験を教訓にして、何かを学び、2度と同じまちがいをしなければ、それは失敗ではないのさ」となぐさめてくれたのです。