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企業統治指針の適用で問う
ソニー精神(スピリット)のあるべき姿

伊庭 保(ソニー社友(元副会長))

 1995年に社長に就任した出井伸之氏は、機構改革に精力的に取り組んだ。カンパニー制の強化、執行役員制の導入に加え、コンサルタントを多用して「EVA(経済的付加価値)」や「シックスシグマ」といった経営管理手法も取り入れ、03年には委員会等設置会社への移行も果たした。

 一方で、残念ながら出井氏が目指した米国型経営機構の下では、経営者の感性と技術者の想いが共鳴することはなかった。

 今にして思えば、続けておけばよかったと思えるプロジェクトが幾つも中止され、ソニーが起こすべきイノベーションで、他社に後れを取ったこともあった。

 その後、社内に混乱をもたらした出井氏から、ハワード・ストリンガー氏へ経営のバトンタッチがあったが、経緯の詳細を私は知らない。ただ、伝え聞くところによれば、会社や社員不在の嘆かわしい結論の出し方だったようだ。この時点で、ソニーは普通の会社以下になったのかもしれない。

 そのストリンガー氏も、エレクトロニクス事業の頽勢を挽回できなかった。取締役会から生え抜きの技術者を排除し、執行部への起用も限ったことで、技術系人材を経営者に育成する道を閉ざすことにもなった。

 次いで、経営トップはストリンガー氏から平井氏に変わったが、ここでも本来の経営トップの選定基準が考慮された形跡はない。また、平井体制の3年間は、事業の再生について見るべき成果はほとんどないと言える。

取締役会と役員に
求められる結果責任

 先述したように、ソニーは日本の中で先駆けて委員会等設置会社へ移行し、運営をしてきた。それは米国型のように、社外取締役が執行側の暴走を防ぎ、結果として企業価値の毀損も防げるとの期待からだった。

 しかし、この10余年の間、取締役会は十分にその機能を発揮してきたと言えるだろうか。

 折しも6月1日をもって、企業統治の指針となる「コーポレートガバナンス・コード」が上場企業に適用となった。その視点を基にして、ソニーの経営体制の現状について問うてみたい。

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