シンプルなメッセージを繰り返し繰り返し伝える
だから、LINE株式会社の戦略はただひとつ。
「どこよりも速く、最高のクオリティのプロダクトを出す」
現場のリーダーたちは、このシンプルなメッセージを繰り返し繰り返し社員たちに伝え続けました。彼らは、この戦略に確信をもっていたのだと思います。
もちろん、局面ごとに発するメッセージもシンプルなものでした。
たとえば、LINEにヒットの兆しが見えたときには、「LINE事業では儲けなくていい。ユーザーの拡大だけを考える」という戦略に徹しました。
インターネット・ビジネスで重要なのは、ユーザーベースを獲得することです。ユーザーベースが大きくなれば、後に必ずビジネスにつなげていくことができます。だから、まずは売上のことは度外視して、とにかくユーザーの利益になることだけに集中すべきだと考えたのです。
正直に言えば、経営者としては売上も利益もほしいのが実情です。だけど、「売上もほしい、ユーザーも増やしたい」と二律背反のメッセージになれば、現場は混乱するだけ。それよりも、「ユーザーの拡大」に全力投球してもらったほうがいい。だから、あえて「儲けなくていい」というメッセージを明確に発信したのです。
その結果、社員たちは圧倒的なスピードで、無料電話、スタンプ、ゲーム、公式アカウントなど、次々と新しいサービスを開発。LINEを世界で最速の成長スピードを誇るサービスのひとつにすることができたのです。