グロービス・マネジメント・スクールで教鞭をとる林恭子氏が映画を切り口に、組織論の様々なテーマやフレームワークを紹介する連載。第4回は、ブラピとロバート・レッドフォードの師弟関係が胸に迫る秀作「スパイ・ゲーム」で、メンターについて考える。
よく耳にするメンターってどんな存在
「スパイ・ゲーム コレクターズ・エディション(2枚組)」DVD発売中 6300円(税込) 発売元:東宝東和 販売元:東宝 |
こんにちは。林恭子です。梅雨の季節を迎えましたね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
先日、久しぶりに友人と会う機会を得ました。今、仕事で大活躍しているその人から出た、こんな言葉が胸に残りました。「いやあ、良いメンターに恵まれたんだよ。本当に幸運だったと思う」。
メンター。皆さん、きっと耳にしたことのある言葉ですよね?会社によっては、制度として新入社員にメンターをつける、なんていうところもあると聞きます。
ではメンターという言葉の語源をご存知ですか?実は、そのルーツは、ホメロスによる、かの一大叙事詩「オデュッセイア」にあるんです。なんだか、格調高いですよね。オデュッセウス王の信頼厚く、王子テレマコスの教育を託された人物、メントルこそがそのモデルです。メントルは、王子の良き指導者であり、理解者で、支援者として描かれています。
そして、今の時代では、メンターとは、「人生経験が豊富で、指導者、後見人、助言者、教育者、または、支援者という役割を果たす人」として位置づけられています。メンターに支援される立場の人をプロテジェ(またはメンティ)、と呼びます。
今日はそのメンターについて、映画「スパイ・ゲーム」をもとに考えてみましょう。
「スパイ・ゲーム」は、2001年の作品です。タイトルから受ける印象と内容にちょっと乖離があるせいか、大ヒットとまではいきませんでしたが、CIAのベテランエージェント、ミュアーが、中国に捕まった若い工作員を助けるため、自分の最後の任務として、壮大な作戦を実行する24時間を描いた、秀作です。ミュアーを演じるのはロバート・レッドフォード。そして、ミュアーが見出し、腹心の部下として育てあげた工作員、ビショップをブラッド・ピットが演じています。