地域の中で、静かに高年齢化していく“引きこもり家族”の行く末を予兆させるような出来事が、ある日突然、埋もれた地表から噴き出すように表面化することがある。
例えば、解体中の住宅から、引きこもっていた当時48歳の男性のミイラ化した遺体が発見されたという札幌市の案件。筆者がこのことを知ったのは、つい最近のことだった。
「引きこもりの兄」がミイラ化
48歳男性遺体を民家解体で発見
事件が発覚したのは、2012年11月のことだ。当時の北海道新聞の記事によると、男性の遺体は、すでに死後数年が経過していたという。
それまで男性は、年老いた母親と姉妹と一緒に同居していて、4人家族だったようだ。
しかし、母親は98歳で亡くなり、残された姉妹も同年11月1日に転居していったため、その後、解体作業が行われていた。
男性の遺体が、民家を解体していた作業員らに発見され、警察に通報があったのは、その1週間後のことだ。
男性の部屋は、衣類やゴミなどが散乱。遺体は、布団や大量のゴミの中に埋もれていたという。
<兄は2年ほど前から自室に引きこもり、生きているのか死んでいるのか分からなかった>
同新聞の記事を見ると、同居していたという当時46歳の妹が警察の事情聴取を受け、そんな説明をしていることが報じられている。
ミイラ化した兄は、実は「引きこもっていた」という、関係者には他人事とは思えない衝撃的な話だった。