これから私たちが向きあおうとしている地域の課題を暗示するような事件が起きた。
兵庫県の淡路島にある洲本市の2軒の民家で起きた5人刺殺事件だ。
報道以上の背景は、まだよくわからない。ただ、容疑者の男性は「中学時代、いじめに遭って不登校になり、20年以上前から引きこもり状態だった」などと報じられている。
また、男性の年齢が40歳だったことから、「中高年の引きこもり」だとして、筆者はTBSの「いっぷく!」という朝の番組からコメントも求められた。
報道によれば、理由はよくわからないが、容疑者の男性は、被害者に一方的な恨みを膨らませていたこと、ネット上のSNSのフェイスブックやツイッターで被害者らを中傷する書き込みを続けていたことなどがわかる。
また、近所の住民がほとんど顔見知りという小さな地域だったこと、容疑者の男性がふだん外出している姿を見かけることが少なかったこと、被害者が容疑者男性の父親から「息子が外出しているのを見たら110番通報してほしい」などと頼まれていたことも報じられている。
いまの段階では、こうした断片的な情報からしか類推することができない。
ただ、この男性が報道にある通り、本当に「引きこもり状態」にあったとすれば、長年「引きこもり」界隈の取材を続けて来た視点から、感じたことが2つある。
地方ほど深刻化する
「ひきこもりの長期化・高年齢化」
1つは、とりわけ地方で進行する「引きこもりの長期化・高年齢化」問題の深刻さだ。
「引きこもり」といっても、あくまでも社会的に孤立している状態が共通しているのであって、便宜上の定義や診断名などで周囲が見ようとするのは、あまり意味がない。
そのような状況に至るまでの背景も、現在抱えている課題の内容や大きさも、本人の中では様々だ。
ただ、引きこもっていく人たちに共通する特性がある。周囲を気遣い過ぎるあまり、疲れてストレスを感じてしまう、そんな繊細な感受性の持ち主であるということだ。