<兄が引きこもって以降、姉と私は、この部屋に一歩も足を踏み入れていない>

 そう妹が説明していることも掲載されていた。

 しかし、この記事を読む限り、引きこもっていた男性の死因については触れられていない。

 事件はその後、毎日新聞に続報が載っていた。

 翌13年の4月2日、北海道警札幌手稲署は、札幌市の民家で弟の遺体を遺棄したとして、当時49歳の姉を死体遺棄容疑で札幌地検に書類送検していたのだ。

 同記事によると、男性は病死したとみられ、姉は、こう明かしたという。

<弟が死んだことに気づかなかったことを近所に知られたくなかった>

 姉は、2012年11月4日以降、片付けるために弟の部屋に入った際、頭部などを発見。弟の白骨化した頭部や腕の一部を、二つのポリ袋に入れて遺棄したらしい。

<頭以外は大量のごみに埋もれており、気付かなかった>

 同記事には、そんな姉の供述も紹介されている。

なぜ数年間も外部の人間が
“異変”に気づけなかったのか

 この家庭の中では、いったい何が起きていたのか。なぜ家族は、外部の人や関係機関にSOSを発信できなかったのか。周囲は、もっと早く“異変”に気がついて、手を差し伸べることはできなかったのか。

 筆者の元に毎日寄せられてくる当事者や家族の窮状を訴えたメールの多さからも、水面下には同じような状況に悩み苦しむ家族が、各地に埋もれているように実感する。

 この家庭を担当していたという民生委員は、1年半くらい前に、男性の行方がわからないことを知らされていたという。