「脳科学おばあちゃん」として全国のお母さんから絶大なる信頼が寄せられている久保田カヨ子氏。ソニー創業者の井深大氏も絶賛した『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』も緊急重版(第3刷)が決まるなど、好調に推移している。

このたび、83歳になったカヨ子ばあちゃんが、自身初の『カヨ子ばあちゃんの子育て日めくり――子育ては体当たり。失敗してまた学べばいいのよ。』を出版。
はやくも楽天ブックスやアマゾンの「子育て」ジャンルでベストセラーになっているという。
どんな想いで出版に臨み、どんなことが『カヨ子ばあちゃんの子育て日めくり』に載っているのか。
本連載では、読むだけでパパ・ママがホッとしながら、子どもの脳が活性化する「カヨ子ばあちゃん31の金言」を紹介。育児で孤軍奮闘するママ・パパを強力に応援したいと思う。
「脳科学おばあちゃん」にその想いを余すところなく語ってもらった。

弱い者いじめをする子
にしない子育て

久保田カヨ子
(Kayoko Kubota) 1932年、大阪生まれ。脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。長男が一級建築士、次男が東京大学に合格。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた“0歳から働きかける”クボタメソッドを確立。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。 『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』『カヨ子ばあちゃんのうちの子さえ賢ければいいんです。』『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』(以上、ダイヤモンド社)などベストセラー多数。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。全国からの講演依頼もあとをたたない。
【脳研工房HP】http://umanma.co.jp/

 キャベツ畑からチョウを虫かごいっぱいに入れて帰ってきた長男に、「お願い。今日はお彼岸だから、そんな殺生はしないで」と、隣のおばさんが逃がしてくれと頼んでいました。

 やっと納得した息子はチョウを逃がそうと虫かごの口を開けましたが、ぎっしり詰まったチョウは飛び出すことができません。

 息子は人指し指を突っ込んで無理矢理ほじくり出すので、大部分は死んでしまいました。逃がすのは惜しいという思いがしても、殺したことにはなにも感じていないようです。

 他にも、小さなバケツにおたまじゃくしを入れたままにして翌朝全部死なせたのをポイと捨てたり、アリの行列を端から踏みつぶしたり、息子は私がだまって見ていられないことをよくしました。

 その都度、すぐ文句を言いたいのを、私も小さいときやったと思ってためらい、この残忍さにつながる行為をどのように解釈して、息子に対応すべきか迷ったものです。

 思いやりのある子に育ってほしいという願いとは裏腹に、息子の性格のなかに残忍なものがひそむのではないかと心配したこともありましたが、その行為のあとの親の態度や応じ方をどうすべきか、見ていて気分のよくないのを頭ごなしに叱らず、「私はイヤ」「次はしないで」と一度は許すことで目をつぶりました。

 乳児のころ、よく母親の目や鼻の穴ヘ指を入れようとして、母親がイヤがってもなかなか止めようとしないことがあります。

 これらの行為が、単純ないじわるに移行していくのならいいのですが、残忍な行為に移らないよう、無力なものへの心ない行いを叱り、弱い者をいじめる子にはしたくないものです。

 私はまず3歳くらいまでは、「かわいそうだね。ママはイヤだなぁ」と軽く非難するだけにとどめました。