トテツモナイ9300億の訴訟
だから、三菱重工に対して、9300億円、およそ1兆円というトテツモナイ巨額の損害賠償を7月に請求したのである。東芝が不正会計によって隠していた金額どころではない。
川内原発のメーカーは、サンオノフレ原発と同じ「三菱重工」なのである。再稼働した川内原発1号機はすでに新しい蒸気発生器に交換しているが、アメリカの事故が証明した通り、新品に交換してから大事故を起こしたのだ。
つまり、鹿児島県では、もうまもなく大事故を起こす可能性がきわめて高い、という結論になる。
さらにひどいことに、10月にも再稼働しようとしている川内原発2号機は、新品の蒸気発生器を持っているが、交換しようとしていたところにフクシマ原発事故が起こったため、交換できないまま倉庫にしまった状態である。30年前に製造されて使ってきた、老朽化した巨大装置を、そのまま使う予定になっている。こちらは、すでに細管の破損を、山のように抱えているはずだ。
交換しなければならないにもかかわらず、交換しないで運転しようとしている。
分りますか。
絶対にあってはならないことが、目の前で進行しているのだ。
八重洲ブックセンター本店講演会での演題が、「川内原発は、ほどなく大事故を起こす!!」とは、そういう意味なのである。
川内原発を再稼働した九州電力と、サンオノフレ原発を廃炉にしたアメリカの電力会社サザン・カリフォルニア・エジソン社の、危険性を防止する思想の違いが、これほど明確に出ている。
日本の電力会社は、大事故が起こる可能性を承知で、原発を運転している。
もはや、狂気としか言いようがない。問題は、このような大事件が、日本のテレビと新聞で、まったく問題になっていないことだ。
そうした中で起こったのが、再稼働した直後の8月21日に、川内原発1号機の復水器の「細管の破損」トラブルだったのである。
復水器も、同じように細いパイプを使って、蒸気の熱を海水に伝えて、海に熱を捨てる装置である。こちらは、チタン製の細管が、1台に2万6000本あり、3台合計で7万8000本以上ある。稼働以来31年間、まったく交換していない老朽化した装置だった。
パイプの破損部から、海水が侵入するトラブルが起こったのである。したがって、この塩水が、蒸気発生器に送られたのである。九州電力は、途中に「復水脱塩装置」があるから、塩分は取り除かれて大丈夫だと言っている。だが、脱塩、つまり塩分を取り除くのは、イオン交換樹脂である。
これほど大量に流れる高速度の水から、イオン交換樹脂で簡単にすべての塩分を除去できるとは、にわかに信じられない話だ。蒸気発生器の細管の外側を流れる水に、塩分が流れこんだ可能性は、かなり大きい。つまり、ますます蒸気発生器の腐食が進みやすい状況にある。