資生堂のマーケティング戦略の中に、
コミュニティあり

資生堂「おめかし会議」

岡田 新製品がいち早く試せたり、プレゼントが当たるという特典は、ユーザーの楽しみです。それを各ブランドに「マーケティングに活用してもらいたい」と話しています。モニターの声をブランドサイトにお客さまの声として掲載したり、ブランドのイベントに参加してレポートをあげていただき、コミュニティ内外に情報を広めてもらったり、ブランドへの理解を深めてもらうなど、いろいろな使い方ができると思っています。皆さん具体的に分かりやすく、感受性豊かに書いてくださるので活用しやすいです。

渋川 でも成功例だけではありません。コミュニティが立ち上がったばかりの頃に新製品発表会の動画や記事を閲覧いただき、感想をお聞きする投稿をしました。しかし、その投稿は、ユーザー目線では無かったため、ユーザーの方々は戸惑ってしまって「何を話せばいいのですか?」という質問が出ました。その率直な意見のおかげで、私たちもどのような内容だとユーザーが答えやすいか、会話が盛り上がりそうかなど投稿の仕方を学ぶことができました。

分析レポートが役立つ3つのポイント

――熱量の高い声を多くいただいて、お客さま目線が定まっていったのですね。

遠藤 弊社ではコミュニティに蓄積された声を活用するためにCDM(コミュニティ・データ・マイニング)という独自の分析を行っていますが、そのレポートはいかがでしょうか。

「レポートは3つの点で役に立った」と語る臼井さん

臼井 レポートは3つの点で役に立っています。

 第1にコミュニティが成長過程のどの状況にあるのかが分かることです。こちらから投げたテーマについてのみ盛り上がっていた初期から、ユーザー同士のつながりができ自主的なテーマが投稿されるようになってきた最近まで、運営過程でコミュニティ内のユーザーの関係性が変容していることが分かります。

 第2にコミュニティの中で、ブランドとのつながりが強くなっていく様子が見えることです。コミュニティの盛り上がりを計測することで、これからブランドに関連して打つイベントやキャンペーンの効果を推測する傍証データに使えます。

 第3には公式オンラインショップ「ワタシプラス」のデータと接続できるため、「好きな気持ち」が「購買」に結びつくところまで追えることです。定量的なデータが得られるのはありがたいですね。

エイベック研究所が作成した資生堂の「CDM(コミュニティ・データ・マイニング)レポート」
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仙田 発言せず会話を閲覧しているユーザーについても、購買金額が上昇していることが数値的に裏付けられたことは収穫でした。

中西 弊社の分析チームはブランド別に「行動」と「影響」を掛け合わせて分析することで、面白い結果が得られたと答えていました。例えば、コスメであれば会話を読むだけで購買につながり、基礎化粧品は深いコミュニケーションによって購買に結びつくという特徴が明らかになっています。こうした情報を資生堂様はどう活用されていますか?

岡田 各ブランドにはコミュニティの価値を説明している段階ですが、すでに複数のブランドから積極的に活用したいという声が挙がり始めています。実は開発者やマーケッターは商品に自信があっても発売するまでは不安を抱いています。コミュニティを活用して事前にお客さまの声をいただくことで「予想通りだ」「この点はお客さまはこう感じるんだな」と気づきが得られることも、メリットだと考えます。

商品購入プロセスにおける態度変容調査。コミュニティ参加による態度変容を時系列で評価している
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