これらのエピソードに共通するのは、成績悪化やミスが起きた後に待ち受ける「上からの仕打ち」だ。この仕打ちを恐れるあまりに、社員の中には「何としても成績を伸ばさなければならない」「絶対にミスをしてはならない」という意識が生まれている。

 とはいえ、ミスや成績の悪化をゼロにすることなど不可能。この時点でもう、無茶な要求になっているのだ。そして、それらのネガティブなシナリオが現実的に起きそうなとき、東芝の不正会計のように、無理やり帳尻合わせをしてしまうことがある。これが「無意識にチャレンジが定着している」と考える所以だ。

 なお、最初に紹介した「ワンマン企業」は、チャレンジの原因がトップのみにあった。つまり、そのトップがいなくなれば企業風土が変わり、チャレンジがなくなる可能性もあるといえる。しかし、「根性教育」や「無意識の定着」については、もはや企業全体の体質が日常的なチャレンジにつながっている。誰か1人が変わっただけでは、無茶な要求はなくならない。

 おそらくそういった企業では、社長が変わろうが時代が変わろうが、チャレンジは残り続けていくのではないだろうか。

企業間でもチャレンジは発生する
下請け会社が抱える耐え難い「苦悩」

 最後に考えたい企業風土のキーワードが、「大手の下請け」だ。これまでのチャレンジは、自社内で行われてきたもの。だが、何もチャレンジは社内だけで起きるものではない。企業と企業の関係性の中でも起きるのだ。

 特に、大手と数多く取引していたり、売上の大半を大手1社に依存していたりする下請け企業は、“企業間チャレンジ”が起きやすいと言える。具体的には、次のような体験談が寄せられた。

「うちはIT系の製作会社。こちらでつくったシステムは完璧だったのに、それと合わせる発注元のシステムに問題があった。すると、発注元は『このバグ直してくれる?』と無茶振り。なぜ相手のシステムの不具合を直さなければならないのかわからなかったが、大口取引の相手なので断れなかった」(33歳/IT)