成熟したスタートアップエコシステムの「裏」に
グローバル企業の存在

前回の連載でもお伝えした通り、イスラエルでは、グローバル企業は、紛れもなくスタートアップのエコシステムの一員である。そうした企業は、スタートアップ支援とスタートアップ買収の両方を行っている。

 その代表格、マイクロソフトは今年に入って、N-Trig社、 Equivio社、Adallom社、FieldOne社、Secure Islands社とすでに5社を買収(総額614億円)。グーグルもpulse.io社、Timeful社を買収している(買収額はいずれも非公開)。ただ、両社とも企業買収だけでなく、スタートアップ支援にも積極的で、マイクロソフトはこれまで60社以上、グーグルはグーグルキャンパス・テルアビブを構え、30社程度を支援してきている。

 現地にR&Dの拠点を持たない企業はこうした戦略を取れないので、企業買収を通じて進出するケースがほとんどである。今年、企業買収を通じて、イスラエルへ進出したグローバル企業を挙げると、アマゾンは Annapurna Labs 社、ペイパルはCyActive 社、ドロップボックスはCloudOn 社、電通は子会社の電通イージスネットワークを通じabaGada Internet 社を、それぞれ買収し進出を果たしている。

 M&Aを経ずに、R&D拠点設立を設立した企業は、中国のシャオミ(Xiaomi)が子会社を設立。日本は、村田製作所が進出を果たしている。村田製作所では、11月末にIoTに特化したハッカソンも開催する。