イスラエルスタートアップの買収が今年は例年以上に盛んで10月末までで既に総額1兆円を超えた。その現状報告と、日本とのビジネス交流が活発になりつつある現在進行形のプロジェクトをお伝えする。

2015年、買収された企業の総額は既に1兆円越え

 今年も10ヵ月が経過したが、すでに600社以上スタートアップが設立されており、年末までには例年通り、800社程度のスタートアップが設立されるだろう。

 

 まずは、注目企業を何社かピックアップする。イスラエルの十八番とされるサイバーセキュリティ関連ではCato Networks社、Illusive Networks社、フィンテック関連では、マイクロソフトベンチャーズから支援も受ける海外送金のCovercy社、IoT関連であれば、イスラエルの技術系大学テクニオン大学のアクセラレータプログラムBizTecの支援を受けるバイオセンサーのInvivo社、エンタープライズ系ビックデータ関連のEqualum社などだろうか。製品未開発の企業は多いが、現地ではメンバー構成から注目を集めており、こうした企業は、将来グローバル企業に買収をされる筆頭候補となってくるであろう。

 今年は、そうしたスタートアップ企業の買収(M&A)も、例年になく盛んである。2015年10月末時点で、イグジット(EXIT)総数は93件(M&A85件、IPO 8件)と、すでに100件に迫る勢いである。イスラエルでは企業は年間800社~1000社程度設立されるので、その8分の1程度が買収されていることになる。

 イグジット総数の9割以上は、スタートアップが買収されるM&Aで構成されており、買収額公開案件75件だけを集計すると、すでに総額1兆円以上(87億5200万ドル)となる。

 上位10社だけで、50億ドルを超え、上位20社で70億ドル以上。上位20社、件数では2割程度であるが、買収金額の8割を占める。