「被曝はなかったこと」に
しようとしている!
広瀬 確かに明石真言は、2011年5月から「福島県民健康管理調査」の検討委員会の筆頭メンバーになって、福島県民の被曝は何も心配ないと発言してきました。
けれど、広河隆一さんが、チェルノブイリ原発事故の被曝者の症状を明らかにしているじゃないですか。そこに明記されているように、鼻血は典型的な被曝症状ですよ。
さらに問題なのは、フクシマ原発事故の場合、広大な範囲で多くの人が被曝者です。
福島だけでなく、茨城、宮城、栃木、群馬、東京、千葉、埼玉などの人も、大量に被曝しています。
それなのに、あたかも福島だけの問題、指定区域だけの問題のように矮小化している。
なぜ被害を隠すんだ?
だって、放射能が危険でなければ、原発が大爆発しても、私は原発の反対運動をしません。放射能被曝が危険だからこそ、みなが反対しているのです。
そこが原子力産業の最大の弱点だからこそ、彼らは隠そうとするわけです。それを白石さんが明らかにしてくださる。
白石 おっしゃるとおり、内部被ばくなどに起因すると見られる身体症状は、核実験がおこなわれた太平洋のマーシャル諸島でも、スリーマイルでも、チェルノブイリでも、そして広島・長崎でも発生しています。
岩波の「科学」2014年9月号に詳細を書いていますので、ぜひ読んでいただきたいです。
実際、私自身も、チェルノブリ原発事故を経験したウクライナに行って、調べてみましたが、特に学校の先生方は必ず「鼻血」の話をされます。
またウクライナでは、被ばくした子ども達のそうした身体症状や健康レベルの低下を把握するために、国の保健省が、子どもたちの身体状態をチェックするガイドラインを冊子にまとめ、専門医に配布していました。もちろん、チェック項目には鼻血が入っています。
そのほか、肌の色の変化、発疹、髪の毛、爪の異常、リンパが腫れているか、運動時にドキドキするか、吐き気、食欲、嘔吐、便通、おしっこの頻度など、さまざまな項目から健康レベルを確認します。
被曝の影響が関係していると思われる病気になった子は、いわゆる「チェルノブイリ障害者認定」を受けて、いろんな支援が受けられるのです。しかも、それを受けることをためらったり、認定を受けた子への偏見や差別は一切ありません。
広瀬 ウクライナは被曝を認めた上で、国をあげて健康を守ろうとしています。
日本は、その姿勢とまったく正反対です。
日本では「被曝はなかったことにする」という方針で、東京オリンピックのためにも、一切を闇に葬ろうとしています。
一刻も早く、危険地帯での賠償を打ち切ろうとしている現状は、人道上、絶対に許されることではありません。
安倍晋三は、人間以下のもの、つまり人非人です。あの男を、私は絶対に許しません。
次回は、「放射線と病気の関係報告書に、お墨つきを与えた山下俊一の正体」についてお話ししましょう。
(つづく)