──共同出資者は台湾資本のフレンドウェルグループですね。

 そうです。ウッドブリッジのオーナーであり、その他にアメリカで十数ホテルを所有し、シェラトンやベストウェスタンなどを展開しています。先方から、アパのホテルをアメリカでFC展開してみたいという話があって、共同出資で「アパホテル・フランチャイズ」というFCを展開する現地法人を設立します。私どもが出資のマジョリティを取ります。

 アメリカ進出はさらに2年先と考えていたのですが、今年、業績が計画以上に好調で、そんな時に提携のオファーがあったので踏み切りました。絶好調の時にこそリスクがとれる。FCなので、そのリスクも最小限に抑えられます。

アメリカ1号ホテルのAPA HOTEL WOODBRIDGEは11階建で客室数200室

 フレンドウェルグループの考えでは、日本からの航空直行便が飛んでいるニューヨークやロサンゼルスなどを先行してFC展開していきたいということです。まず彼らの所有するホテルをリブランドし、「こういう実績が出た」ということを示して、他社にフランチャイジー勧誘の営業をかけていく手順です。

 現在、法的手続きを調整中で、来年早々、早ければ年内に設立となります。アメリカで会社を設立できれば、他国へもスムーズに進出できます。

──アメリカ進出は収益的に採算が合うのでしょうか。

 短期的には、東京や大阪でさらに多くのホテルを開業したほうが儲かります。このプロジェクトは長期的な戦略に基づくものなのです。

 現状、アパ会員は1000万人います(2015年11月末現在)。会員はアパホテルに泊まるとポイントを取得でき、一定ポイントごとにキャッシュバックなどの特典があります。海外進出に当たっても、この会員が一定の固定客層として有力だと考えています。

 会員にはビジネスマンが多く、アメリカへも頻繁に出張しています。仕事で行く場合は、サービスや設備面で慣れている、いつものホテルがいいという声はよく聞きます。しかし今日、海外に日系ホテルは少ない。そのニーズに応えて行きたいという考えもアメリカ進出を後押ししました。

──アメリカでのFC展開は、今年4月に始まった中期5ヵ年計画「SUMMIT5-II」の施策の1つですね。その前の5ヵ年計画「SUMMIT5」から今回の計画へどのように推移されたのですか?

 前回の「SUMMIT5」では、「一点突破・全面展開」を経営方針として、まず東京都心にドミナント(集中)投資しました。立地選定では、「駅から3分以内」を条件としました。これが奏功して、今日の高い収益力基盤ができました。

 また、計画スタート時の2010年4月時点での客室2万室を、15年末で4万室に増やす目標を立てましたが、今年12月3日現在で350ホテル・5万6918室(開業に加え建築・設計中を含む)となっています。内訳は、直営で141ホテル・3万6600室、FCで24ホテル・3159室、パートナーホテル(ブランドや経営は個別に独立しているが、アパグループのネットワークに入っている提携ホテル)で185ホテル・1万7159室です。

 これを今年4月スタートした「SUMMIT5-II」では、2020年末に合計10万室、その内訳は直営4万8000室、FC2万4000室、パートナーホテル2万8000室を計画しています。2020年度でホテル部門の売上高は1200億円を見込んでいます。

 連結決算で今期(11月決算)は、売上高900億円、経常利益272億円見込みです。売上高利益率30%となり、ホテル産業の中で最高の収益性となったので、アメリカ進出も大丈夫だろうと考えました。

 GOP率(売上高営業粗利益率)では、一般にホテルでは20~30%が合格ラインと言われていますが、当社は70~80%という高い収益力を実現しています。

 利益全体のうち約8割強がホテル、2割弱がマンション他の事業の利益で、近年はホテル事業の収益力がぐっと高くなっています。特に最近開業した、新宿歌舞伎町タワーや新宿御苑前など東京のホテルの稼働率が高く、100%を超えるホテルも多い。チェックアウトの時間が早いお客様がいるので、そういう場合に、ホテルの従業員が部屋を清掃して、当日需要のお客様に利用していただくオペレーションで達成しています。

 東京都心の利用者はインバウンド(訪日外国人)が多く、歌舞伎町タワーなどでは顧客の7割が外国人。その半分が欧米人です。都心のホテルは団体予約を入れずに、すべて個人客です。