「まだ、手つかずの市場が7割もある。その市場に向けたアプリを新たに投入する」――。ソフトウェア開発のMetaMoJiが、デジタルノートアプリ「GEMBA Note」を開発し、11月27日からベータ版の提供を開始した。
IT業界の流れの
「逆張り」をいく経営
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「GEMBA Note」はその名の通り、さまざまな現場での利用を想定したアプリで、建設現場、営業現場、サポート現場などの「現場」において、タブレット、スマホといったデバイスを、より効率的に利用するための基本機能を搭載する。そして目指したのは多機能化。これを「超機能」と表現し、「軽さ」を追求する昨今のアプリとは一線を画す開発コンセプトとした。MetaMoJiの社長は、ワープロソフト「一太郎」で有名なジャストシステムの創業者である浮川和宣氏。浮川氏の新たな挑戦が始まる。
2009年に設立したMetaMoJiは、IT業界の潮流とは「逆張り」で事業を進めてきた経緯がある。
手書き入力できる日本語変換ソフト「mazec(マゼック)」は、ソフトキーボードを含めたキーボード入力が主力であるデジタルツールに、手書きという使い方を提唱。スマホやタブレットの普及にあわせて、手書きの便利さが注目を集めてヒット製品となった。
「会議」と書く際にも、手書きで「会ぎ」と書けば、ひらがな部分を漢字に変換。さらに、それをテキスト文字にしてくれる。自らワープロソフト「一太郎」を世に送り出し、キーボードによる入力を広げた第一人者が、今度は手書き入力を広げる、「逆張り」ともいえる役割を担っている。
また、MetaMoJiでは、手書き入力も自由にできるMetaMoJi Noteという製品も投入している。いまのデジタルツールの活用方法をみると、文字はワープロ、写真や画像はフォトアプリ、音声や動画は動画再生アプリといったように、複数のアプリを使い分ける利用法が一般化している。だが、MetaMoJi Noteでは、文章や写真、音声などのすべてのコンテンツをひとつのアプリで利用でき、しかも自由に貼り付けることができる環境を提案してみせた。これも時代の流れとは異なる提案である。しかし、自由度の高い操作環境を実現していることが、多くのユーザーから支持されており、人気アプリの一角に位置づけられている。
現場には現場専用の
アプリが必要
そして、今回のGEMBA Noteも、これまで手つかずだった「現場」での利用を想定したという点で、一般的なアプリとは異なる「逆張り」戦略だといえよう。
ビジネスシーンで最も使われているアプリは、マイクロソフトのOfficeであるのは間違いない。Word、Excel、PowerPointなどは、日常業務の標準アプリとして利用されているのは周知のとおりだ。だが、その機能の多くは、Officeの名称が表すように、オフィスワーカーに最適化したものになっている。そして、基本機能の多くは、PCの利用環境において最大の効果を発揮し、机の上で操作することによって、高い操作性を実現している。
「PCは、オフィスワーカーが利用するためのITツール。それに最適なアプリがOfficeであった。一方で、タブレットやスマホは外出先で利用したり、様々な現場で利用できるツールとなるが、そこにOfficeを持ち込んでも、現場の感覚からしてみれば、使いにくいものになりがちであり、現場と呼ばれる場所に最適化したアプリがないのが現状だった。そのため、現場でのITツールの利用が促進されていなかった」と、MetaMoJiの浮川和宣社長は語る。